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2008年09月27日(土) 07時01分

選挙内閣2日で失速 与党の自信揺らぐ 東京新聞

 国連総会出席のためニューヨークを訪問していた麻生太郎首相は二十七日未明に帰国する。得意の外交でスタートダッシュを決めたかったところだが、留守中に中山成彬国土交通相の失言や小泉純一郎元首相の引退などのマイナス材料が相次いだ。与党が期待していたほど内閣支持率は上がらず、逆風下での帰国となる。 (ニューヨークで、佐藤圭)

 「外相の時も話したが、首相として言うのとは全然違う」。首相は国連演説後、満足そうにこう語った。

 首相の初外遊は現地に泊まらないゼロ泊三日の強行軍。十時間のニューヨーク滞在中、国連演説や潘基文(バンキムン)国連事務総長らとの会談を分刻みでこなした。

 日本の首相が国連総会で演説するのは、二〇〇五年の小泉氏以来三年ぶり。「思い入れのこもったスピーチ」(外務省関係者)で日本外交の失地回復を図った。ブッシュ米大統領との会談は実現しなかったものの、留守番役の河村建夫官房長官は「大成功だ」と初外遊の成果を強調した。

 しかし、二十六日に発表された各報道機関の世論調査で、内閣支持率はほとんど50%を割り込んだ。自民党内には「麻生氏ほどの人気者でも思ったほどの数字がでなかった」と、失望感も広がっている。

 世論調査で民主党中心の政権よりも自民党中心の政権を望む層が上回っていることを踏まえ、十一月二日投開票を軸とする与党の選挙日程に「大きな変化はない」(自民党幹部)が、衆院解散への自信が揺らいでいるのは確かだ。

 中山国交相の失言も麻生政権の船出に悪影響を与えた。首相官邸は発言撤回で幕引きとしたい意向だが、野党に攻撃材料を与えた格好で、公明党幹部は「もっと国民を恐れないと駄目だ」と怒り心頭だ。

 小泉氏の突然の引退も打撃だ。麻生内閣発足翌日の引退表明は、小泉構造改革の見直し方針を掲げてきた麻生氏への「あてつけ」との見方もある。改革推進を期待してきた有権者の自民党離れが進むのは避けられない。

 首相は振るわなかった支持率について「仕事をした上での評価じゃないと」と巻き返しを宣言したが、残された時間は少ない。

(東京新聞)

http://www.tokyo-np.co.jp/s/article/2008092790070145.html