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2008年09月26日(金) 13時12分

「言い過ぎた」「辞任の考えはない」 国交相の謝罪一問一答産経新聞

 中山成彬国土交通相は26日の閣議後会見で、25日の報道各社のインタビューで、「成田空港の拡張反対はゴネ得」「日本は単一民族」「教員汚職事件を起こした大分県教委のていたらくは、日本教職員組合(日教組)が原因」などと発言したことについて、「ご迷惑をおかけした」と謝罪した。一問一答は次の通り。

                ◇

 「昨日の発言について、国民のみなさまにご迷惑をおかけしたのを申し訳なく思う。誤解を招く発言なので撤回した。閣僚懇で、各閣僚は誤解をまねく発言は慎むようにという官房長官からの発言があった」

 −−確認だが撤回したのは成田と日教組、単一民族の発言か

 「言葉足らずというか、言い過ぎた点も含めてだ」

 −−国交省の所管事業が2つあるが、「成田」と「単一民族」について認識を改めてお願いしたい

 「国交省の仕事は初めてでよく分からなかった。その後、事務方から、成田については歴史的な経緯について説明を受けた。昭和41年の閣議決定移行、十分に住民の理解を得ることなく建設を進めた。賛成派と反対派の運動が激化する中で過激派の介入を許し住民に迷惑をかけた。国としては円卓会議などで解決に努力してきた。空港と地域の共生の元に、平成22年3月には平行滑走路を北伸して2500メートルの滑走路になる。これらを踏まえて、昨日の発言は撤回した」

 「単一民族については、頭の中にアイヌのこともあった。アイヌの人々は日本の北部周辺、特に北海道で独自の文化を有する先住民族ということを認識している。転居を余儀なくされたアイヌの人々が多数いたことを踏まえ、アイヌの人の誇りが尊重される政策を目指し、文部科学省とアイヌ文化振興法を進めている。アイヌ政策の推進に努めていく所存です。昨日の発言は誤解を招くと思い撤回した」

 −−大分県教委の発言については

 「これについても撤回しているので、これ以上は差し控えさせてもらう」

 −−改めて、昨日の記者会見ではどういう発言をされたのか

 「正確には覚えていないが、これからの日本の観光立国について、質問者の質問は『日本は内向きの民族で外国人を受け入れられにくい』ということでしたが、島国にあって、日本に住み着いて海外との交流が少なかったことが国際交流の妨げになっているというのが頭にあった」

 「空港問題については、日本のインフラ整備の後れについて、公のためにはある程度自分のことを犠牲にしてでも尽くすという精神が必要と普段思っているわけですから、空港だけでなく道路拡張などを念頭に置いた発言だったが、誤解を招くということで撤回しました」

 −−言葉足らずで誤解を招くことはあるが、あれだけ長く話している。本心なのではないか

 「私人としての発言と公人としての発言は区別しなければならないと認識した」

 −−昨日は私人としてのインタビューだったのか、国交相としてのインタビューだったのか

 「その自覚が不十分だった」

 −−大分県教委に謝罪はないが

 「事件は係争中なので、所管外ですし、発言を差し控えます」

 −−改めて単一民族という真意を

 「外国に行くと分かるが、米ニューヨークなどではまさに民族のるつぼいろいろな方がいる。日本に帰ってくると、同じような人が住んでいることで単一といってしまった。似通っているなと。ただ、日本列島には、色々なところから人が移り住んできたという認識は持っている」

 −−成田の発言について、道路のほか、公共事業でも同じことを考えているのか

 「私は宮崎の小さな農家出身です。市の道路拡張で先祖代々の宅地が半分以上削られた。小さなころから農作業をした長方形の田んぼがあったが、斜めに横切る道路ができ、なくなった。父は早くに亡くなっており、母は後家さんといわれ軽く見られたのかなと、残念に思いながら市の決定に従うべきではと思った。農家の強い思いは人一倍分かっているつもりですが、それについて撤回した」

 −−麻生太郎首相や、千葉県の堂本暁子知事には話したか

 「真意を説明してご理解いただきたい」

 −−発言を撤回したのは事務方に促されてか

 「アイヌの方々が不快の念を持っていると聞いて、それは自分の意図と違うなと思い自分で判断した。一度発言したことは戻りませんから。適切な言葉を探していたのですが、長年日本列島という、世界から隔離されたところに住んでいて内向きな国民性をつくったのかなと思っていたので、言葉というのは人によって違う取り方をして不快感をもたれるのだなと思った」

 −−一連の発言撤回ですが、政権への影響について

 「そういう影響がでてくるのは申し訳ない。国民のみなさまのご理解をいただけるようにしたい」

 −−誤解とおっしゃるが私人としては、国家のために個人の犠牲は必要と思っているのか

 「それは自分の政治信条ですから、変わらない。世のため人のために尽くしたいということで政治家になったのでそれは変わらない」

 −−大分県教委への発言は少ないが、撤回するのか

 「はい」

 −−政治信条としてとおっしゃったが、広く国民にもそういう考えを持ってほしいのか

 「率直に申しあげるとあるんですよね。道路建設については、予算措置も必要ですが地域住民の協力がないと進まない。成田について経緯を知らなかったものですから、本当に申し訳なかったということで撤回させていただいています」

 −−学力テストについて役割を終えたと言うが

 「それは文部科学省が決めること。発言するべきではなかった」

 −−道路特定財源の一般財源化について、一方で地元の現状を話していたが、59兆円の道路計画圧縮についてのご意見を

 「道路特定財源を一般財源化する方針は変わらない。宮崎県も含めて、もう少しつくってほしいという声を聞いているので、できるだけ財源を獲得したい。これから考えていきたい」

 −−一般財源化について未練があるのか

 「心の中ではそう思っているが、閣僚の一因としてやっていかなければいけない」

 −−辞任の考えは

 「ありません」

 −−日教組の強い地方は点数が低いという発言については

 「ご自分で調べてほしい。私の口からは差し控える。文科省に聞いて下さい」

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