記事登録
2008年09月26日(金) 00時00分

09年版一押しセキュリティー対策ソフトは?読売新聞

 各社のセキュリティー対策ソフトの最新版が出そろった。2009年版の傾向は「軽さ」「個人情報保護」「子供の安全」がキーワードだ。各ソフトの特徴と、バージョンアップの方法をまとめた。(テクニカルライター・三上洋)

セキュリティー対策ソフトの基礎知識

 毎年9月には、各ソフト会社がセキュリティー対策ソフトの最新版を発表している。ウイルス駆除を始めとしたセキュリティー対策ソフトはパソコンには絶対欠かせない。各社は毎年最新版をリリースして、機能や性能を競い合っている。

 各社新製品の特徴をまとめる前に、セキュリティ対策ソフトのバージョンアップについて基礎知識をまとめておこう。個人向けのセキュリティー対策ソフトは、大きく分けて2つの種類がある。1つは1年ごとの契約が中心となるもの。最新のウイルスに対応するパターンファイルを入手するための契約が必要になる。もう1つはソフトウエアを買うだけで、更新なしで使えるもの。ソースネクストの「ウイルスセキュリティZERO」が一例で、ウィンドウズがサポートされている限り毎年の費用負担なしで利用できる。

 主力となるのは1年ごとに契約が必要になるタイプだ。毎年更新料を払う形だが、同時に最新バージョンのソフトも入手できる会社が多い。例えばマカフィー、トレンドマイクロ、ジャストシステム(カスペルスキー)では、契約期間中であれば最新バージョンへ無料で変更できる(シマンテックも無償キャンペーンを行っている)。

 トレンドマイクロを例に取ると、「ウイルスバスター2007」という旧バージョンを使っている人が更新料を払って現在も使い続けていると仮定しよう。更新料を払って契約が有効なら、最新版へ無料でバージョンアップできる。一度削除するなどの操作が必要だが、無料で最新版へバージョンアップできるのでぜひ利用したい。

2009年版のキーワードは「軽快さ」

 トレンドマイクロの「ウイルスバスター2009」は、個人情報保護の強化と、動作が軽くなったのが特徴だ。個人情報保護では、業界初と思われるパスワード入力の暗号化機能を搭載している。これはキーボード入力を勝手に記録する不正ソフト「キーロガー」への対策で、キーボード入力そのものを暗号化してしまうもの。キーボードのドライバーなどをバイパスさせ、ハードウエアへ割り込みをかけることで、パスワード入力を不正ソフトに記録させない仕組みにしている。動作の軽さでは、従来の2008年版に比べてメモリー使用量を45%カットするなど軽快さを重視している。以前のウイルスバスターは動作がやや重いという評価が多かったが「2008で軽くし、2009ではさらにメモリー使用量を減らしたので軽快になっています(トレンドマイクロ)」とのことだった。

 マカフィーでは3つの製品をリリースした。機能を絞った「マカフィー・ウイルススキャンプラス2009」、主力製品の「マカフィー・インターネットセキュリティ2009」、初心者や家庭向けにユーザーを助ける機能を強化した「マカフィー・トータルプロテクション2009」というラインナップだ。

 2009年版では子供に見せたくないサイトをカットする「Webフィルタリング機能」を強化している。検索サイトでの結果を、子供の年齢別にフィルタリングできる(「インターネットセキュリティ」「トータルプロテクション」に搭載)。また迷惑メール対策では、企業向けのエンジンを採用することで、フィッシングメールなどをシャットアウトする機能が強化されている。動作については「以前から弊社製品は軽いとして評価されてきましたが、2009年版ではインストールを簡単にするなど、より軽快にご利用いただけるようになっています」(マカフィー)とのこと。

 なおマカフィーでは旧バージョンの製品を使っていても、契約期間中であれば自動的に最新バージョンに更新される。

 ジャストシステムの「カスペルスキー インターネットセキュリティ2009」では、ウイルス検出のエンジンなどを大幅に見直している。新しい仕組みのウイルスエンジンを搭載したほか、アプリケーションソフトの監視も効率化した。それにより以前よりも起動時間やスキャンの時間を大幅に短縮した。「カスペルスキーはウイルス検出率の高さが特徴ですが、今回のバージョンアップでは軽快さも重視しました。『性能』と『速さ・軽さ』を両立させています」(ジャストシステム)と胸を張る。

 旧バージョンの「カスペルスキー6.0」「カスペルスキー7.0」のユーザーでも、契約期間中であれば無料で最新の「2009」へバージョンアップできる。

 シマンテックでは機能を絞った「ノートン アンチウイルス2009」と総合セキュリティー対策ソフトの「ノートン インターネットセキュリティ2009」を発売している。「ノートン インターネットセキュリティ2009」は、機能改善によるスピードアップが大きな特徴だ。「ノートンインサイト」という技術により、危険性の高いファイルを絞り込んでスキャンすることで高速化。また最新のウイルスに対応するために5〜15分でパターンファイルを更新する「パルスアップデート」機能が加わっている。これらにより従来よりも大幅にパフォーマンスが向上し、軽快に使えるようになった。

 なおシマンテックでは「ノートン2006」「ノートン2007」「ノートン2008」を使っているユーザー向けに無償アップデートキャンペーンを行っている。更新有効期限内でウィンドウズXPかVistaを使っているユーザーが対象だが、無料で最新の「2009」にアップデートできる。

バージョンアップの確認を

 このように2009年版の製品では、動作の軽さを重視しているソフトが多いようだ。また個人情報保護や、保護者による子供へのフィルタリング機能などが強化されている。ウイルスやスパイウェア対策、迷惑メール対策などの基本的機能は各社ともそろっているので、それに安全対策機能をプラスしているところが多い。

 ソフト会社にもよるが、前述したように更新期間中であれば、無料で最新版にアップデートできる場合が多い。自分が使っている対策ソフトのサイトをチェックし、無料アップグレードの対象になっていれば、ぜひ最新版へ切り替えよう。旧バージョンのままでも問題はないが、多くの最新版が以前よりも動作が軽くなっている。パソコンを軽快に使うためにも、ぜひアップグレードしたい。

http://www.yomiuri.co.jp/net/security/goshinjyutsu/20080926nt16.htm