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2008年09月25日(木) 14時00分

米ホンダによる「歌う舗道」、住民から苦情殺到で再舗装WIRED VISION

ワイアード・ブログ『Autopia』の「史上もっとも迷惑な宣伝」部門が、カリフォルニア州ランカスターのニュースを伝えてきた。

本田技研工業のマーケティング・チームがランカスター市と協力して、町はずれにある道路をジョアキーノ・ロッシーニが作曲したクラシックの交響曲『ウィリアム・テル』(西部劇『ローン・レンジャー』のテーマ曲と書く方が分かりやすいだろうか)を奏でる道路に変えたというのだ。

『シビック・ミュージカル・ロード』と改名された約400メートルの「K通り」(Avenue K)には、車道に溝が刻まれていて、車が走るとロッシーニの名曲の調べが流れる仕組みだ。

ホンダによると、時速約90キロで走る新モデルの『シビック』で「演奏した」時がもっともきれいに聞こえたという。音楽を奏でる「メロディー・ロード」は、この道路を含めて世界に数本存在するが、米国ではこれが初めてだった。

[メロディー・ロードは、北海道の篠田産業が北海道立工業試験場と共同開発し、特許出願中の技術。アスファルト舗装道路路面上に一定の溝間隔で切れ目を施工することによって、走行音がメロディーとして感じられる。北海道を含め日本国内で7箇所施行されている]

カリフォルニア州リャノの住民Peggy Hagerさんは、『L.A. Daily News』紙にこう語った。「ちょっとクールだと思う。K通りを走っていると、人里離れた場所にいる気分になる。こういうのに遭遇するのは、素敵な驚きじゃないかな」

だが、多くのランカスター市民がこの計画に反対した。この記事を過去形で書いているのはそのためだ。このメロディー・ロードは9月22日(米国時間)、上から舗装し直され、かつての状態を思い出させるものは『YouTube』に投稿された動画しかない。

ホンダが契約している広告代理店は、今月放送予定の広告にこの音楽道路を登場させる予定だ。この広告代理店がランカスターを選んだ理由は、この地の開放感と住民コミュニティーだったという。

同市は、映画やテレビ番組のロケ地としてもっと利用してもらいたいという思惑から契約を結び、9月5日に道路作業員が溝を刻み始めた。米Antelope Valley Film Office社の渉外担当者であるPauline East氏はL.A. Daily News紙に、「町はずれだから大丈夫だと思っていた」と語った。

しかし、僻地にわざわざ引っ越ししてくるタイプの人間は、都会からシビックで訪れ通りを渋滞させる観光客を迷惑がるのはもちろん、奇妙な騒音にも悩まされたくないと思うだろうことは、予想できたことかもしれない。報道によれば、観光客の中には、針が飛ぶレコードのように繰り返し曲を奏でるために、何度もこの道路を走る者もいたという。

ホンダの関係者は、Civic Musical Roadから800メートル以上離れたところに住んでいるのに音が聞こえた住民を含め、苦情を申し立てた住民全員に謝罪した。だが、これが、ホンダが過去に展開したゲリラ的なマーケティング・キャンペーン『So Cal』だったら、ランカスター市民は苦情を言わなかっただろうと思う。So Calでは、ホンダの社員が無料でガソリンを提供し、食料品、日用品を配布したからだ。

おそらく、ホンダが選んだ曲が問題だったのだろう。あるランカスター市民は、ビートルズの名曲『イエスタデイ』にするよう提案した。『ドライブ・マイ・カー』を選んだほうがましだったのかもしれない。

以下は、『シビック・ミュージカル・ロード』の動画

以下は日本にある道路の動画

{この翻訳は抄訳です。原文には、ミュージック・ロードにはどの曲がふさわしいかについての読者投票があります}

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20080925-00000001-wvn-sci