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2008年09月25日(木) 10時40分

氷河期からの生物が今も 深泥池のナゾオーマイニュース

 京都盆地の北端に位置する京都市北区上賀茂に、周囲1.5キロほどの池が標高200メートル足らずの低い山にはさまれて横たわっている。地元の人は「みどろが池」と呼んでいるその湿地帯には、氷河期からの動物や植物が生育し、「みぞろが池生物群集」として国の天然記念物に指定されている。国の指定では、池の名前は「みぞろが池」とされている。

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 湿地の3分の1ぐらいは、植物が堆積(たいせき)してできた浮島でおおわれている。ボーリング調査の結果、池の底には炭化したミズゴケ(水苔)が堆積していて、炭素年代測定の結果、この湿地帯は14万年前にさかのぼるそうだ。

 浮島は夏は浮き上がり、冬は冠水するといわれる。平たいところにはマコモ(真菰)、ミツガシワ(三槲)やカキツバタ(杜若)など古代からの植物が見られ、少し盛り上がったところにはヤナギ(柳)の仲間やアカマツ(赤松)、ネジキ(捩木)などの小高木が生えている。

 ハナダカマガリモンハナアブと呼ぶハナアブの仲間が、浮島に生えるミツガシワを食草にして育ち、4月に白い花を咲かせると花粉を媒介していることが確認されている。ミツガシワとこのハナアブの関係は1万年前に終わった最終氷河期から延々と続いているといわれる。

 池にはチョウトンボ(蝶蜻蛉)やイトトンボ(糸蜻蛉)の仲間など約60種ものトンボが生息している。アメンボ(飴ん棒)などカメムシの仲間やゲンゴロウ(源五郎)など数多くの昆虫がすんでいる。

 記者が訪れた時、水面をおおうジュンサイ(蓴菜)に混じって、食虫植物のタヌキモ(狸藻)が水中に繁茂し、水面から突き出した花茎に可憐(かれん)な黄色い花を咲かせていた。水際にせり出した山の小道を入って水面を見るとヒメコウホネ(姫河骨)が黄色い花を咲かせ、水際の茂みにはサワギキョウ(沢桔梗)の青紫色の花がひっそりと咲いていた。

(記者:矢山禎昭)

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20080925-00000001-omn-l26