2008年09月25日(木) 19時55分
「すき家」「ビッグボーイ」のゼンショー、工場で不良ハンバーグを再利用(MyNewsJapan)
牛丼の「すき家」を経営するゼンショーの直営工場で、異物混入のため除外された材料を再利用している疑いが浮上した。
グループ会社であるファミレス「ビッグボーイ」に卸している冷凍ハンバーグに、製造過程でセンサーに二度はねられた材料を、日をおいて混入した可能性があるという。これによって、消費者は異物混入や食中毒のリスクを負うことになる。
工場内の製造ラインで働いていたアルバイト社員にその実態を聞いた。
有田清志さん(仮名・35歳)が川崎市にあるゼンショーの南関東第一工場に入社したのは今年の2月末。
仕事は冷凍ハンバーグの梱包作業だが、ラインから異物混入を感知するセンサーがはじいたハンバーグを、新しい材料と混ぜて再利用している疑いが強いという。
異物混入を防ぐためのセンサーにはじかれた冷凍ハンバーグは、バンジュウと呼ばれる箱に入れておき、時間をおいてから一度ラインを止めて、もう1回センサーに通す。センサーが誤作動する場合もあるので、再度チェックするためだ。
2回目もセンサーにはじかれたハンバーグはラインから外し、以前は廃棄していたが、7月に入ってからは、そのハンバーグを台車に積んで、冷凍庫に運ぶようになったという。
「冷凍庫の中に入ると、その前に置いてあった冷凍ハンバーグを積んである台車に紙がつるしてあり、そこには『○○日の余り』と書いてありました。
これは、そのまままた材料に混ぜて使うつもりなんだと思いました。
以前にも、センサーで二度はねられたハンバーグを、正社員から、混ぜるからあそこに持っていって、と言われて、直接材料を混ぜるミートパティ成型工程の場所まで持っていかされたこともありましたから」
これが事実なら、なぜ会社側はそのような使い回しを始めたのだろうか。
「ビッグボーイに卸している150グラム規格のハンバーグで、すごい量の廃棄が出ていました。
その処分量を測るのも自分の担当だったのですが、一週間の内の1日はかご車1杯分、約300キロ、最高時には1日でかご車3杯分、約1トンが捨てられていました。
この廃棄を減らしたいと考えたのでしょう。今現在も、この使い回しは続いていると思います。」
何度混ぜなおしてセンサーを通しても、小さな骨が存在する限りは通らないはずだが、有田さんによれば、再び混ぜなおすことによってセンサーを通る可能性があるという。
「4月頃に、作業で使っている使い捨て手袋の破片がハンバーグに混じり、センサーを通り抜けて、目視で見つけてはねたという事件がありました。それ以来、着脱時に手袋が破損していないかをチェックするようになったのです。
二度センサーにはねられたハンバーグには小さな骨や異物が入っていると思いますが、再度、他の肉に混入して、骨や異物の比率を下げれば、センサーを通り抜けることは考えられます」
工場のある川崎市の保健衛生課によれば、冷凍・解凍を繰り返していれば、品質が劣化するだけでなく、黄色ぶどう球菌などの、過熱しても毒素が消えない細菌が繁殖して、食中毒を起こすなどの衛生上のリスクがあるという。
「以前はビッグボーイで食べたこともありますが、今はもう食べたくないですね」
その後、8月初めに、有田さんは職場で働いている最中に同僚から理不尽な暴行を受け、左肩を負傷して休職した。
しかし、会社は加害者に何の処分も下さず、有田さんは工場長から「個人の問題だから、一切責任がとれない」と言われ、労災も認められなかった。
加害者と一緒の職場では危険で働けないと判断した有田さんは、やむをえず退職し、警察に被害届を出し、加害者の取り調べとその報告を待っている。
「今月はわずかしか収入が入らず、苦しい毎日を送っています。あんな無責任な会社に入っていなければ…と思うと非常に悔しいです。」
(伊勢一郎)
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