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2008年09月25日(木) 19時15分

「ケータイ小説」ブーム終わったのか ベストセラー減りドラマ「恋空」大コケJ-CASTニュース

 大ベストセラーを連発した2007年から一転、「ケータイ小説」はここにきて盛り上りに欠けている。ドラマ「恋空」の初回視聴率が夏ドラマで最下位だった上に、書籍もこれといったヒットがない。読者からは学校内での恋愛をテーマにしたワンパターンな展開だ、と指摘される始末だ。「ケータイ小説」は飽きられてしまったのだろうか。

■「恋空」初回視聴率が夏ドラマで最低を記録

 携帯電話で気軽に読めるというスタイルが10歳代〜20歳代前半の若者にうけている「ケータイ小説」。話題の作品は書籍化されていて、07年のベストセラーランキングでは上位3位をケータイ小説が独占した(単行本・文芸部門、トーハン調べ)。1位「恋空 切ナイ恋物語(上・下)」(スターツ出版)、2位「赤い糸(上・下)」(ゴマブックス)、3位「君空'koizora' another story」(スターツ出版)と、誰もが一度は耳にしたことのある作品が並ぶ。さらに5位にもランクインして、10位中4冊がケータイ小説という結果になった。

 ところが08年に入り、状況が一転している。上期にベスト10入りしたのは2作品のみ。それも9位と10位。さらに07年に文芸部門で1位だった「恋空」がドラマ化されて08年8月2日から放送されたが、初回視聴率は5.6%。7月から始まった夏ドラマの中で、最低を記録した。書籍は発売から1カ月で100万部を超え、映画は興行収入が40億円に迫る大ヒットで、期待は高かっただけに低空飛行振りが目立つ。

 ケータイ小説は従来の小説と異なり、著者のほとんどが素人だ。難解な言葉は使わず、身近な言葉を使っていて読みやすいものの、メールやブログの延長のような印象も否めない。また、題材は学校生活や恋愛といった等身大のものが多く、「ワンパターンだ」と指摘する声もある。

■単行本大ヒットないがWebでの人気まだ健在

 「Yahoo!JAPAN知恵袋」に、中学1年女子のこんな意見が書き込まれていた。

  「イロイロなところで
  『ケータイ小説は文章がおかしい・稚拙だ』
  『想像力をかきたてられない』
  などと、言われています。
  私もそう思います。ふつうに作家さんの本のほうが、おもしろいです」

 また、別の読者は、

  「お涙ちょうだいな雰囲気なのに、全く泣けなかったり…
  のちのちの展開に意外性がないことが多かったり…」

 同じような意見がネットで複数見られる。ところが、ケータイ小説を投稿したり、自由に閲覧できるWebサイトを運営する魔法のiらんど(東京都千代田区)ではPVが伸びているという。

 「08年3月末現在の月間PVは38億で、前年同月より5億PV増えています」と話し、Webでの人気は健在であることをアピールしている。

 同社は人気の作品を書籍化していて、毎月数冊のぺースで出版している。これまでに70タイトル以上を書籍化し、累計1300万部を売り上げている。ただ、個別の部数や直近の売れ行きについては、「ノーコメント」。また最近、ケータイ小説が上位にランクインしない理由について、こう説明する。

  「新しい形の小説としてジャンルが確立したいま、色んな作品が書籍化されるようになりました。読者が分散し、ベストセラーが生まれにくくなっています」

 07年のベストセラーランキング(単行本・文芸部門、トーハン調べ)で2位になった書籍「赤い糸」の発行元、ゴマブックス(東京都港区)も、

  「確かに、このところ業界全体で大ヒットはないですね」

と認める。

 本が売れない時代、新たなヒットメーカーであるケータイ小説に出版社としては今後も期待したいところだ。しかし読者からすれば携帯でメールやブログのように読めれば十分、ということなのだろう。


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