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2008年09月25日(木) 03時07分

34歳の小渕氏「行かなくちゃ」、論客・石破氏「まず事故米」読売新聞

首相官邸に入る小渕少子化相(24日夜)=三浦邦彦撮影

 「このメンバーで堂々と選挙を戦う」。24日午後、組閣を終えた麻生新首相は、首相官邸での記者会見で自ら閣僚名簿を読み上げ、こう宣言した。少子化相には1児の母で、戦後最年少の入閣となる小渕優子氏(34)を起用。事故米の不正転売事件で迷走する農林水産省には、総裁選を戦った論客・石破茂氏(51)を送り込んだ。新内閣発足で総選挙モードは一段と加速した。

 ◆入閣発表、駆け出す◆

 小渕氏の長男は25日に満1歳になる。生まれたのは福田政権発足前日。そしてこの日午後3時ごろ、国の子育て政策を担う少子化相内定を伝える電話連絡が議員会館の事務所に届いた。

 部屋の外で待ち構えた報道陣に「(麻生首相)本人からです」。そして、「大変光栄。若いから経験がないと言われないよう一生懸命頑張りたい」と笑顔を見せ、「自分自身も悩みながら子育てをしている。子供を持つ多くの人が安心できる環境作りをしていきたい」と抱負を語った。

 午後6時半過ぎ、首相が閣僚名簿を読み上げるのを事務所のテレビで見ていたが、携帯電話に呼び出しの連絡が入ると、「ダッシュで行かなくちゃ」と駆け足で事務所を飛び出した。

 官邸の就任会見ではやや緊張気味。議員と子育ての両立について「私だけでなく皆さんも苦労をされており、私が誇ることはない」「(自らの経験を)少子化相としての施策に結びつけたい」などと語った。

 父の小渕恵三元首相の急逝を受けて出馬し、初当選したのが2000年6月。3期連続当選を重ね、04年12月に民放テレビプロデューサーと結婚した。会見では、原稿に目を落としながら話していたが、仕事と育児の両立について「毎日毎日が綱渡り」と打ち明ける場面も。内定連絡について「本当に総理から電話がくるんだなと驚きました」と初々しく語った。

閣僚記者会見に臨む石破農相(24日夜、首相官邸で)

 ◆「隠れ農政通」◆

 安倍内閣以降、任期途中で4人が交代した農相ポストに就いた石破氏。午後2時半ごろ、議員会館の事務所で要請を受けた直後、記者団から心境を聞かれてしばし沈黙し、「食の安全に対する信頼が根底から揺らいでいる。まず、事故米問題の対応が問われる」とゆっくり語った。

 この日、「三笠フーズ」などに警察の捜索が入ったことについては、「業者がけしからんというのは簡単だが、政府が完璧(かんぺき)にすればこんなことは起きなかった。風評被害もお気の毒さまで済む問題じゃない」と厳しい表情を見せた。

 自他ともに認める「防衛通」だが、かつて2度、農水政務次官を務めており、農水省幹部は「隠れ農政通」と呼ぶ。事務所の本棚の上半分は農業や漁業に関する本で埋まっており、石破氏は2冊を手に取り、「これが参考書。1冊は役人が『こうなればいいでしょうね』という本、もう1冊は彼らが『とんでもない』という本だ」と笑った。

 石破氏就任の報を聞いた農水省では「意外だ」との声があちこちから上がった。政務次官時代を知る幹部は「よかった」と漏らしたが、多くの職員は「石破さんの性格を考えると、お願いする通りには動いてくれないだろう」「何が起きるのだろう」と話していた。

http://www.yomiuri.co.jp/feature/20080924-4471734/news/20080925-OYT1T00092.htm