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2008年09月24日(水) 18時39分

【元公安庁長官再尋問(11)】「満井」と呼び捨てバレた…「120万ドル」の説明続く産経新聞

 《医療電子科学研究所あてに韓国人から送金された計120万ドルを巡り、緒方重威被告への弁護人質問が続く。弁護側は緒方被告には、「朝鮮総連本部ビル売買にからむ報酬」という認識はなかったことを印象づけたい考えだ》


 緒方被告の弁護人「平成18年5月26日に韓国人から振り込まれた60万ドル、日本円にして6678万円あまりについてですが、ここから医療電子に3500万円と678万円を渡したとのことですが、まだ2500万円が余っていますね。どうしましたか」

 緒方被告「これは事業資金として韓国人から来た金なので、医療電子のために出してくれと言われることもあるだろうと思い、預かり金として管理をしていました」

 緒方被告の弁護人「その後、実際に医療電子あてに出したことはありますか」

 緒方被告「あります」

 緒方被告の弁護人「その医療電子への貸し付けといいますか、出金の記録は取っていますか」

 緒方被告「社員への給与が支払えないので貸してくださいと(医療電子側から)いわれ、私個人が管理する別の口座から2500万円を引き出して渡したことがあります」

 緒方被告の弁護人「その別口座にもメモ書きをしましたか」

 緒方被告「しました。入出金とも」

 緒方被告の弁護人「それは満井さんに貸し付けたという認識ですか」

 緒方被告「そうです。ただ、医療電子の給与や家賃とか言われたので、結局は医療電子のために使うのだろうと思いましたが」

 緒方被告の弁護人「別口座の通帳への書き込みですが、なんとメモしましたか」

 緒方被告「おそらく『満井氏貸し付け』か『満井さん貸し付け』か」

 緒方被告の弁護人「実際には『満井貸し付け』というのもあるのですが…」


 《法廷では終始、満井さんという敬称付きで呼んでいた緒方被告。思わぬところでボロが出てしまったようだ》

 《弁護側は証拠として提出した別口座の通帳を示す。それによると、平成18年10月13日から計4回にわたり、1000万円(18年10月13日)▽600万円(11月15日)▽2000万円(11月27日)▽300万円(19年3月13日)−の計3900万円が出金され、その脇に「満井氏貸し付け」「満井貸し付け」とメモ書きがあるという》


 緒方被告の弁護人「これらは満井さんを通じて、医療電子に貸し付けた金ですか」

 緒方被告「そうです。渡したのは満井さんですが、医療電子のために使ったのだと思います」

 緒方被告の弁護人「先ほど、満井さんが医療電子の資金調達をしていたとの話がありましたが、それはなぜですか」

 緒方被告「当時の医療電子の社長が放漫経営で、社長の座から追い出そうという話があり、その関係で満井さんが資金繰りをしていました」

 緒方被告の弁護人「私個人の考えとすれば、この場合、『医療電子貸し付け』と書くのが筋かと思いますが…」

 緒方被告「満井さんに言われて、満井さんに渡したので、単純にそう書きました。この貸し付けについては、満井さんに責任を取ってもらわないと困るので…という気持ちもありました」


 《ここでいったん弁護人は入り組んだ金の流れを整理する。それによると…》


 ・18年3月10日、韓国人から60万ドル(約7062万円)が振り込まれる。うち7000万円を医療電子に送金する。

 ・18年5月26日、韓国人から再び60万ドル(約6678万円)の振り込み。うち3500万円と678万円の計4178万円を医療電子に支払う。

 ・18年10月13日以降、緒方被告の別口座から計3900万円を医療電子に貸し付け。

 ・いずれも医療電子側から緒方被告の口座には返金されていない。


 《弁護側は韓国人由来の資金のうち、全額が満井被告側にわたり、緒方被告の手元には残っていないと主張したい考えのようだ》


 緒方被告の弁護人「先ほどまでの証言をまとめますと、(医療電子が)韓国人に返済すべき借入残金は、最低でも計1億1178万円あまりあったということですね」

 緒方被告「はい」


 《弁護側は証拠として再び口座の通帳を示す》


 緒方被告の弁護人「19年4月25日、口座に7000万円が振り込まれていますが、これは韓国人に返す金として(医療電子側から)振り込まれたということですね」

 緒方被告「そうです」

 緒方被告の弁護人「満井さんから事前に連絡がありましたか」

 緒方被告「はい。韓国人に外貨にして振り込んでくださいと言われました。外為の関係で60万ドルに満たない分は『立て替えておいてください。あとで面倒をみますから』と言われました」

 緒方被告の弁護人「連絡があったのはいつ?」

 緒方被告「振り込みをする3、4日前だと思います。『韓国人の口座が分からない』と言うと『あとで連絡します』と言われました」

 緒方被告の弁護人「7000万円を韓国人に返し、通帳には『貸付金返済』と書き込みましたね。なぜ貸付金と?」

 緒方被告「韓国人から来た金が私を通じて医療電子の方に貸付金として拠出されているので、それをもって、貸付金の返済だという認識でいました」

 緒方被告の弁護人「送金先の連絡はどうやって受けましたか」

 緒方被告「ペーパーに書いて、ファクスを受けたと思います」

 緒方被告の弁護人「ファクスにはなんと記載されていましたか」

 緒方被告「韓国人の送金番号が書かれていました。送金には、名前をローマ字で書かなければならないのに、韓国語で書いてあって、読み方が分からないので困りました」

    =(12)に続く

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