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2008年09月24日(水) 16時53分

【元公安庁長官再尋問(5)】「満井被告がネコババ?」…仲間割れ気にして詰問を我慢産経新聞

 《河江浩司被告への怒りを吐露した緒方重威被告。弁護人の質問に対し、河江被告が“逆ギレ”したことや、河江被告に対して芽生え始めた疑念について詳述し始める》


 緒方被告の弁護人「(移転登記が完了していることを伝えると)河江さんは何と言いましたか」

 緒方被告「『投資家が権利書を確認していないので(金を)持ってこいと言っても持ってこられない』と逆に反撃されました」

 緒方被告の弁護人「権利書はいつ確認できるという話でしたか」

 緒方被告「来週と言われました。だから(平成19年6月)11日には(航空ベンチャー会社社長の)Aさんも持ってくる。それまでは無理という返事でした」

 緒方被告の弁護人「それに対してどう思いましたか」

 緒方被告「金をいつでも持ってくると言っていたのに、もしかしたら手間取っているのかと疑念を持ち、河江に疑いが生じました」

 緒方被告の弁護人「河江さんに対しては、このとき初めて疑念を持ったということですね」

 緒方被告「はい。明日にでもといってたのが、この期に及んでなんでこうなるのかと思いました」

 緒方被告の弁護人「それで6月11日まで待つことにしたんですね?」

 緒方被告「仕方がないので待つことにしました」

 緒方被告の弁護人「そのことを土屋公献弁護士には伝えましたか」

 緒方被告「はい、報告しました」

 緒方被告の弁護人「満井(忠男被告)さんには何か言いましたか」

 緒方被告「はい」

 緒方被告の弁護人「河江さんに連絡してくれと頼みましたか」

 緒方被告「河江さんのフォローをしてくれとは言ったと思います」

 緒方被告の弁護人「その後、公安調査庁が被告の事務所を訪ねてきて、その後、(朝鮮総連責任副議長の)許宗萬さんと(常任委員の)趙忠治さんの2人が来ましたね?」

 緒方被告「はい」

 緒方被告の弁護人「2人は何と言ってましたか」

 緒方被告「許さんは、普段は穏和な方だが、厳しい表情で『1000万円を受け取っているか?』と聞かれました」

 緒方被告の弁護人「それに対して何と答えましたか」

 緒方被告「受け取ってませんと答えました」

 緒方被告の弁護人「受け取るつもりかどうかについては何か言いましたか」

 緒方被告「許さんは『満井はけしからん奴』と非常に怒っていました。その上で『緒方先生には非常にお世話になっている。お礼として満井に1000万円を渡してあるが、それを受け取ってないのですね?』と言われましたので、『ありがたいが、気持ちしか受け取れない。いただく筋合いはない』と伝えました」

 緒方被告の弁護人「2人はほかのお金については何か言ってましたか」

 緒方被告「『満井さんに4億数千万円を渡しているがそのことを知っているか』と聞かれ、『知らない』と答えました。そしたら、このことは話さないことになっていたが、1000万円が渡ってないならと、3枚の受取証を見せてくれた」

 緒方被告の弁護人「これはこのとき初めて聞いたことですか」

 緒方被告「はい、びっくりしました」 

 緒方被告の弁護人「聞き返したりしましたか」

 緒方被告「いろいろ経緯を聞きたかったが急いでいたようで、聞きそびれてしまいました。許さんは憤慨した様子で、受取証を置いて帰ってしまいました」

 緒方被告の弁護人「この3枚の受取証はどうしましたか」

 緒方被告「総連関係は一つのファイルに入れていたので、そこにファイリングしました」

 緒方被告の弁護人「許さんや趙さんから金を受け取っている満井さんに、どうしようと思いましたか」

 緒方被告「経緯を聞かないと、と思いました」

 緒方被告の弁護人「何かに記録しましたか」

 緒方被告「はい、大切なことなので2人が帰ったあと、手帳に書きました」


 《手帳を見せ、緒方被告の弁護人は「許さん満井に4億、緒方先生用1000万渡してある」と手帳に記載された内容を読み上げる》


 緒方被告の弁護人「被告人は満井さんにこのことを聞いたことはありませんか」

 緒方被告「ありません」

 緒方被告の弁護人「なぜですか」

 緒方被告「いろんなことがあったが、それを満井さんに言ったら詰問しないといけなくなる。なぜ1000万円をネコババし、4億円のことを話さなかったのかと。仲間割れじゃないが気まずくなるので、我慢しました。それよりも事態を収めないとと思いました。それまでは満井さんは非難できないと考えました」


 《それまでイスにもたれかかるように緒方被告への尋問を聞いていた満井被告も目の色を変え、口を真一文字に結んで緒方被告の言葉を漏らさないようにメモを取り出す。満井被告の心中やいかに−》

    =(6)に続く

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