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2008年09月24日(水) 16時23分

【元公安庁長官再尋問(4)】「いえ、別に…」緒方被告が“エリカ節”で強弁産経新聞

 《河江浩司被告の法廷での供述を「まったくでたらめ」と強い口調で批判した緒方重威被告。弁護人はさらに“河江首謀説”を強めようと質問を重ねる》


 緒方被告の弁護人「河江さんはすし店のことを供述していませんでしたが、すし店の話は間違いない?」

 緒方被告「間違いありません。それは私も満井(忠男被告)さんも一致しています」

 緒方被告の弁護人「すし店を出てからは?」

 緒方被告「私は満井さんと医療電子(科学研究所)に戻って、(朝鮮総連代理人の)土屋(公献弁護士)先生との打ち合わせの時間まで待ちました」

 緒方被告の弁護人「河江さんは?」

 緒方被告「ほかに用があるからと言って、別のところに行きました。店は一緒に出たのですが…」

 緒方被告の弁護人「用事の内容は聞きましたか?」

 緒方被告「いえ、聞いていません」

 緒方被告の弁護人「河江さんは医療電子に遅れてきましたね」

 緒方被告「はい」

 緒方被告の弁護人「(検察側が主張する)投資の確約を得たかのように見せかけるため、遅れてくるように指示したことは?」

 緒方被告「ありません」


 《その後、緒方被告は河江被告の報告の内容がよかったため、満井被告に依頼し、朝鮮総連財務担当の趙忠治常任委員にも打ち合わせに参加してもらうよう、電話で呼びかけた経緯などを説明》


 緒方被告の弁護人「河江さんが遅れてくるまでに、被告人は土屋弁護士や趙委員にどう説明を?」

 緒方被告「あまりぐだぐだ言っても仕方がないので、河江さんから都内のホテルやすし店で聞いた話をかいつまんで説明しました。『(航空ベンチャー会社社長の)Aさんからの資金の調達は間違いないと思っている』と伝え、『河江さんも来ますので聞いてみてください』と言っていたところ、河江さんが到着しました」

 緒方被告の弁護人「河江さんはなんと?」

 緒方被告「『金はそこまで来ている。明日あさってでも用意できると言っている』『投資家としては登記が先にあるほうが安心しますしね』と説明し、土屋先生も趙さんも納得してくれたようでした」

 緒方被告の弁護人「そのような説明で、総連側は移転登記に納得をしたと?」

 緒方被告「はい」


 《緒方被告は、朝鮮総連の先行登記は河江被告の説得があって実現したと主張した》


 緒方被告の弁護人「土屋弁護士はなんと?」

 緒方被告「『それなら契約しましょう』『(登記を先行すれば)投資家には金を持ってこなければならないと、プレッシャーがかかるから意味がある』と言われ、私は『なるほどそういう考えもあるのだな』と思いました」

 緒方被告の弁護人「その晩、契約書に調印することになったわけですね」

 緒方被告「はい」

 

 《ここでも“河江首謀”の主張をにじませた》


 緒方被告の弁護人「契約締結後、3泊4日の中国旅行に行きましたね」

 緒方被告「はい」

 緒方被告の弁護人「メンバーは?」

 緒方被告「満井さんと通訳のウーさんと、満井さんの古い友人と称する方です」

 緒方被告の弁護人「男性ですね」

 緒方被告「はい。名前も分かりますが…」

 緒方被告の弁護人「結構です。帰国後、河江さんに資金準備の進捗状況について確認しましたか」

 緒方被告「はい。確認しました。中国から帰ってきた翌日だと思います」

 緒方被告の弁護人「6月5日ですね」

 緒方被告「はい」

 緒方被告の弁護人「事務所に来てもらった?」

 緒方被告「はい。河江さんは『まだ送金が遅れている』といい、『Aさんが日本の上場企業につなぎの金を出してくれないかと声をかけているところだ』と説明を受けました。また、『それについてはAさんが保証をするということになっている』との説明も受けました」


 《緒方被告はあくまで自らが受け身の姿勢だったことを強調。その後、弁護人から、『支払いは「預手」(預金小切手)になる』と緒方被告が朝鮮総連側に伝えたか否かについての質問があり、緒方被告は『正確な覚えがない』とあいまいな説明をする》

 

 緒方被告の弁護人「被告人は、Aさんが海外からの送金の準備をしていると信じていたわけですね」

 緒方被告「はい。河江さんから聞いてそうだと思っていました」

 緒方被告の弁護人「河江から土屋弁護士に報告になかったことを説明をするよう指示したことはありませんね」

 緒方被告「ありません」


 緒方被告の弁護人「6月ごろ公安調査庁の柳(俊夫)長官から、総連中央本部の所有権が(緒方被告が代表を務める)ハーベスト投資顧問に移転していることについて、経緯の説明を求める電話がありましたね」

 緒方被告「ありました」

 緒方被告の弁護人「どう答えましたか」

 緒方被告「予想外の電話でびっくりしました」

 緒方被告の弁護人「えー、それでどう答えたのでしょうか」

 緒方被告「『登記は間違いないのか』と聞かれたので、『確かに代表者は私です』と答えました。柳長官は『なぜこんなことに関与したのか』と聞かれるので…」


 《緒方被告は、朝鮮総連は大使館としての機能を持ち、在日朝鮮人にとっては大切な場所であり、私も及ばずながら協力することになった−とする従来からの説明を繰り返したのだという》


 緒方被告の弁護人「被告人はその電話の時点で、登記が完了したことを知らなかったわけですね」

 緒方被告「はい」

 緒方被告の弁護人「電話を受けて『まずい』と思いましたか」

 緒方被告「いえ、別に…。やましいことじゃないので、単に『登記が早いこと終わったんだな』とだけ思いました」


 《「いえ、別に…」と女優の沢尻エリカさん風の回答で、緒方被告は罪の認識がなかったことを強調した》


 緒方被告の弁護人「その後は?」

 緒方被告「河江さんにすぐ電話をしました」

 緒方被告の弁護人「電話ではなんと?」

 緒方被告「登記について河江さんから何も連絡がなかったので、やや私も怒っていまして。なんで言ってこないんだと、少し乱暴な言い方をしました」

 緒方被告の弁護人「なんと言いましたか」

 緒方被告「『とある人から登記が完了したと話を聞いている』『登記できたのだから、Aさんに伝えてすぐに金を持ってきてもらってください』と強い言葉でいいました」

 緒方被告の弁護人「それで?」

 緒方被告「河江さんが『私は聞いていない』というので、改めて柳長官に電話をして、『それは本当ですか』と聞くと、『いま手元に登記簿謄本がある』というので、それは間違いないと思い、再び河江さんに電話をしました」

    =(5)に続く

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