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2008年09月24日(水) 16時08分

【元公安庁長官再尋問(3)】「お金どうなった?」と聞くと「99・99%です」の返答があった産経新聞

 《航空ベンチャー会社社長のAさんと面談した後のことについて、緒方重威被告への質問が続いている。相変わらず緒方被告は、冗舌に当時の様子を語っている》


 緒方被告の弁護人「Aさんとの面談状況について、朝鮮総連への報告はどのような形でしましたか」

 緒方被告「河江(浩司被告)さんが公判で言っていたように、報告書という形で言いました」

 緒方被告の弁護人「報告書は被告が河江さんに作るように指示したのですか」

 緒方被告「『総連に報告しておかなければいけないね』と言った覚えはありますが、報告書と指示したかどうかは…。河江さんは何でも指示、指示と表現していますが、はっきりした記憶はありません」

 緒方被告の弁護人「河江さんはどうしたのですか」

 緒方被告「私の自宅にファクスで河江さんが起案した報告書が届きました」

 緒方被告の弁護人「それに、どう対処したのですか」

 緒方被告「売買契約の実行期限が書いていなかったので、そこはきっちり書くように伝えました」


 《しばらくして報告書についての質問が終わった。続いて、平成19年5月29日のAさんと河江被告との面談がどうなったかについての質問に移った》


 緒方被告の弁護人「29日に河江さんからAさんとの面談結果の報告はあったのですか」

 緒方被告「ありません。気にしていたのですが」

 緒方被告の弁護人「それで、どうしたのですか」

 緒方被告「満井(忠男被告)さんに『河江さんから連絡があったか』と聞きましたが、『何も連絡がない』と言いました。31日が売買契約の期限ということもあって、どうにか河江さんに会わなければいけないと思って、満井さんに河江さんに会えるようお願いしました」

 緒方被告の弁護人「それで31日に都内のホテルで会ったんですね。その場で河江さんは29日のAさんとの交渉結果について何と答えましたか」

 緒方被告「『あの日は会えなかった』ということでした。『一体どうなっているの』と言ったら、『Aさんは間違いないと言っていて、今晩も会う』とのことでした。『お金はどうなっているの』と聞くと、『そこまで来ています。99・99%です』と言いました」

 緒方被告の弁護人「99・99%というのは」

 緒方被告「投資家の世界で100%というのは、手元にお金があることを意味するそうです。『まだお金が来ていないので、99・99%が正確です』ということでした」


 《売買契約期限までに金が調達できなかった緒方被告ら。その後、緒方、満井、河江の3被告はどのような行為へと走っていったのか。緒方被告の口からその様子が語られる》


 緒方被告の弁護人「その場で、(朝鮮総連代理人の)土屋(公献弁護士)先生との取引をどうするかについて、誰かから提案がありましたか」

 緒方被告「河江さんから『お金はすぐそこまで来ているから、売買契約をきょうやりましょう』という話があって、私は『お金が来ていないのに結べない』と話をしました」

 緒方被告の弁護人「それに対して河江さんの反応はどうでしたか」

 緒方被告「『登記先行で契約をした方が、土屋先生も安心するから』と。私が『異常だ』と言うと、河江さんが『投資家ではよくある』と言って、満井さんも『そうだ』と言った。そういうことならば、Aさんがお金を持っていることを前提にして登記先行の売買契約書を作るほか方法がないと思いました」

 緒方被告の弁護人「お金が確実ということを前提にしての契約だったのですね」

 緒方被告「もちろん、そうです」

 緒方被告の弁護人「(登記先行の売買契約を)被告から提案したわけではありませんね」

 緒方被告「はい。私はそのような方法を知りませんし」

 緒方被告の弁護人「河江さんは公判で、満井さんと被告が中国に旅行に行くので、『きょうやるしかないと言われた』ということだったが」

 緒方被告「それは全くのでたらめです。うまく私たちの中国旅行をはめこんだんです」


 《ふだんは穏やかに質問に答える緒方被告だが、河江被告の証言内容について聞かれると、怒りを覚えるのか語気を強めた》


 緒方被告の弁護人「河江さんの報告について土屋先生にはどのように伝えましたか」

 緒方被告「河江さんから『きょうはお金を渡せないが、すぐそこまで来ているという話があった』と言いました。『投資家は登記されていることで安心してお金を出すので、登記を先に進めなければいけないが、どうですか』と聞きました」

 緒方被告の弁護人「土屋先生の反応は?」

 緒方被告「『今までと話が違いますね』と若干、困惑していた感じでした」

 緒方被告の弁護人「5月31日夜に都内のすし店で、満井さん、河江さんと会ったとき、どのような話をしましたか」

 緒方被告「『(Aさんとの面談について)どうだった』と聞いたら、『大丈夫です。明日でも明後日でも(お金を)持ってくるとAさんが言っていた』ということなので、登記を先に履行してもいいと判断しました」

 緒方被告の弁護人「お金はどの段階まで来ていたのですか」

 緒方被告「『もうすぐ、そこまで。明日でも明後日でも持ってくる』と言いました。どの段階か聞いておけばよかったと思いますが、聞いていませんでした。35億円というお金なので、色々な事務的な手続きがあってそこで手間取っているのではないかと思いました」

    =(4)に続く

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