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2008年09月24日(水) 19時02分

<掘り出しニュース>10円ジュース自販機 日本で1台、ピンチ乗り越え“続投”毎日新聞

 ◇「中日つぁん」のエース

 【島根】大田市恒例の彼岸市「中日つぁん」で、順番待ちの列が絶えない人気の10円ジュース自動販売機。40年以上前の製品で、稼働する全国でただ1台の機械だが、今年は登場のピンチを迎えていた。【船津健一】

 自販機の持ち主は、同市のさんべ食品工業社長、勝部邦彦さん(53)。今月初め、機械頭部のガラス製サイフォンを取り外し洗浄して乾かしていたところ、ひびが入る事故が発生。「このガラスが割れたりしたら、もうやめます」と話していたこともあり「いよいよか」と引退が危ぶまれた。

 だが、メーカーですら本社で殿堂入りしている年代物で、現役はこの1台だけ。思い直した勝部さんは県内外のガラス工芸の会社など数社に照会したが、直径と高さが約30センチのガラス製サイホンを作れる職人が見つからなかった。

 八方手を尽くし、大阪の会社が作っているポリカーボネート製の容器がサイホンの形状に似ていたのと、口金の口径が同じだったため、これを代用。23日の本番には、サイホンの中でジュースが噴水のように吹き出すおなじみの姿が無事登場した。

 自販機は、10円硬貨を投入すると「ビー」という大きなブザー音が鳴り、オレンジジュースが数秒間、コップに流れる仕組み。レトロな感覚で、彼岸市で多くの人気を集めている。勝部さんは「機械は去年、メーカーが点検整備してくれて順調。サイホンを新しく作るのが無理なようなので、京都の美術工芸品を修復する会社に見てもらうつもり」と話している。

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20080924-00000021-maiall-soci