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2008年09月24日(水) 16時15分

中国の牛乳メラミン混入事件 大手検索エンジンの真相隠ぺい疑惑J-CASTニュース

 牛乳のメラミン混入事件を調査してきた中国・国家質量監督検査検疫局の李長江局長が辞任に追い込まれた。それを伝えるニュースが、2008年9月23日の中国の新聞各紙に掲載されたが、スーパーなどで山盛りしている牛乳は、さっぱり売れない。その一方で、問題のメーカーと大手検索エンジンが協力して、発覚以前にニュースを事実上もみ消したのではないか、という疑惑まで出ている。

■メラミン検出しても河北省はどこにも報告せず

 粉ミルクを生産し、販売してきた三鹿(San Lu)社は、1993年以来、中国最大の販売量を維持し続け、数々の政府関係の賞をもらっている。事件が明るみに出るまでに、2007年には国務院から乳業国家技術進歩賞をもらい、その前には、軽工業部から優れた製品、農業部から優秀新製品、国内貿易部から消費者に推薦するすぐれた製品、全国ユーザーの満足製品など、200以上の賞をもらっている。

 その三鹿社の製品を淅江省の王遠萍氏は、2007年11月に買った。1歳になろうとしている娘に飲ませ、しばらくしてから、娘のおしっこに粒粒のものが一緒に排出され、下痢も止まらなかった。王氏は不思議に思い、08年2月に三鹿に購入した粉ミルクを郵送し、説明を求めた。会社から粉ミルクを届けたという電話はいったん来たが、その後に何らの連絡もない。

 王氏は人気ネットのBBSに書き込み、5月になってからやっと三鹿の代理と自称した人がやってきて、確認書に拇印を押印してもらい、その代わりに4箱の新しい粉ミルクを手渡し、BBSでの書き込みの削除を要望された。

 しかしこの時、ほかの消費者が王氏の書き込みを李長江局長がトップの国家質量総局に転送している。しかし、総局から何の答えも返ってこなかった。

 6月から三鹿社の粉ミルクに関する苦情は殺到し、7月24日に三鹿社を管轄する河北省は、サンプルを検査し、16の幼児用粉ミルクからメラミンを検出した。しかし、河北省はどこにも報告しなかった。8月2日、北京五輪の直前に三鹿社は、ひそかに販売されている粉ミルクを全部回収することを決めた。

 河北省出身の李旭氏は、J-CASTの取材に、

  「河北省の中では著名な企業と言えば、三鹿だけで、地元の主要な納税メーカーだ。社長は、人大代表(代議士)で、そこにあえて文句を言う人はいないよ」

と明かす。

■「著名な検索エンジンが数百万元の協力費をもらっている」?

 三鹿社の絶大な政治力のせいもあって地元政府も中央政府も動かないなか、ネットはさらにもう一度、三鹿社の粉ミルクに疑問をかけた。

 しかし、事件発覚まで、検索をかけてもほとんど「三鹿社」関連の記事や書き込みは出てこなかった。

 2008年9月22日付けの『中国新聞週刊』に「事件関係図」が掲載された。三鹿事件の背後には、PR会社である北京海涛通略国際広告有限公司があり、検索エンジンの百度(Baidu)と協力して、ニュースを事実上もみ消したのではないか、という疑惑だ。

 中国のブログには、著名な検索エンジンが三鹿社から数百万元の協力費をもらっているという指摘まで飛び出している。これに対して、百度の関係者は、J-CASTの取材に「そうした事実はない」と否定はしている。

 前出の『中国新聞週刊』は、三鹿社の粉ミルクにどのぐらいのメラミンを混入したかを試算し、303トンという驚異な数字をはじき出した。また、中国22社の粉ミルクを検査したところ、全部引っかかった。三鹿社は、販売量と同様、製品の中にメラミンの含有量も最高値を出した。

 事件の全容はまだ分からないが、幼児の死亡者数は3名、入退院は数千人にのぼるという。

 メラミンは、中国語では非常に響きのいい名称をもっており、「脂肪エキス」という。メーカーは牛乳の水増しを防ぐため、原料乳の脂肪量を検査する。この脂肪エキスを入れるとほぼチェックはパスできる。毒もあるとは知っているが、農家は幼児を死なせるほどとは知らなかったという。

 現在、全中国ではどこも牛乳が売れなくなった。政府に何人かの辞任者は出ているが、なぜ河北省が報告しなかったか、三鹿社の責任はトップの辞任だけでいいのか、ネットの責任は本当にないのか、などなど、追及しようという動きはさほど強くはない。

(J-CAST北京)


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