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2008年09月24日(水) 23時34分

新閣僚布陣、経済・外交政策などに「麻生カラー」濃く読売新聞

 24日に発足した麻生内閣は、経済、外交政策などで「麻生カラー」を濃く反映した布陣となった。

 麻生首相とは景気対策重視の考え方でも近い中川財務相を起用、政策転換を明確にした上、金融相の兼務で「財政と金融一体化への回帰」も印象づけた。外交は首相自らが主導し、「価値観外交」に転じる可能性がある。

 ◆ぜひ兼務すべき◆

 首相は24日夕の記者会見で、財務相と金融相を兼務させた理由を「機能的だ。世界中で(金融危機対策を)検討する時、各国の財務相で日本だけ金融に関係していない。ぜひ兼務すべきだ」と説明した。

 「財金分離」は1990年代、旧大蔵省の金融業界への「護送船団」行政などに批判が強まったのを機に、橋本内閣が行政改革の一環として着手した。邦銀大手の破綻(はたん)などで深刻化した金融危機対応で、98年には金融監督庁(現金融庁)が発足、財政・国際金融政策を財務省、金融行政を金融庁が担った。小泉政権下で、金融庁は竹中平蔵金融相のもと、「小泉改革」の一環として不良債権処理などを断行した。

 だが、リーマン・ブラザーズ破綻など世界的な金融不安が広まり、「(財政と金融行政を)別の役所で所管することがいいことなのか」(伊吹文明・前財務相)との懸念が与党内で広まりつつあった。首相は財務省と金融庁の将来の組織統合についても、「仕事をやってみなきゃわからない」と含みを持たせた。

 ◆トップダウン◆

 小泉、安倍内閣で2年近く外相を務め、英語も堪能な首相に対し、中曽根外相は外交関係の要職についた経験がなく、手腕は未知数で、「首相がトップダウン外交を行う」との見方が出ている。首相は、アジア外交を重視した福田前首相とは、「日本と米国、日本と中国は同じ変数と考えたことがない」と発言するなど、違いが際だつ。外相時代に発表した「自由と繁栄の弧」構想では、民主主義、市場経済など日本と同じ「価値観」を持つ国々への支援を掲げ、「中露封じ込め」とも受け止められており、こうした立場をどこまで強調するかが注目される。

 ◆説明能力重視◆

 石破農相の起用と、野田消費者相の再任には、農薬などに汚染された「事故米」問題など「食」に関する不祥事が相次ぐ中、消費者重視の姿勢を訴える狙いがある。特に石破氏は、不祥事が続いた防衛省改革を手がけ、記者会見などでの説明能力にも定評があり、「役所を徹底してたたき直す雰囲気にさせる」(首相周辺)と期待されている。

 石破氏は「農林水産省の官僚は防衛省以上に手ごわそうだから、“文民統制”が必要だ」と、早くも改革への意欲を示している。

http://www.yomiuri.co.jp/feature/20080924-4471734/news/20080924-OYT1T00778.htm