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2008年09月20日(土) 11時26分

2人被害の中国製あん、簡易検査では異状なし読売新聞

 長野市南高田の菓子製造業「丸生(まるせい)本店」で、粒あんを味見した従業員2人が手足のしびれなどを訴えた問題で、あんを納入した長野市内の卸会社「丸冨士」の社長は20日未明、報道陣の取材に応じ、「製造段階で、1袋だけに異物が混入することはないと思う」と説明した。

 丸冨士によると、あんは同社が出資している中国・青島(チンタオ)の工場「青島冨士嘉(ジャ)食品有限公司」で製造された。

 丸冨士では約15年前から青島冨士嘉と取引しており、「今までに(味などが)おかしかったことはない」という。丸冨士は問題の粒あんだけでなく、現在国内に出回っている同工場製のあん数十トンの回収を決めた。ただ、青島冨士嘉からは、他の卸会社数社もあんを輸入しているという。

 丸冨士の社長は「工場では、日本製の密封機械を使って袋詰めを行い、加熱処理を施している。あんの袋に穴を開けて、異物を入れれば、1、2日で腐ってしまう」と話し、製造段階や製造後の混入について否定的な見方を示した。

 一方、長野市保健所は19日、ヒ素と有機リン、シアン、硝酸、亜硝酸の5種類の物質について濃度を測定する簡易検査を行ったが、いずれも異状は認められなかった。同保健所と県警科学捜査研究所で原因物質の特定を急いでいる。

 毒物に詳しい田坂興亜・元国際基督教大学教授(化学)は「保健所の簡易検査では、かなりの濃度で物質が混じっていないと、わからない部分もある」とした上で、「嘔吐(おうと)やしびれなどの症状から、カビ毒、水銀化合物などが原因となっている可能性もある」と指摘している。

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20080920-00000012-yom-soci