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2008年09月20日(土) 10時19分

【衝撃事件の核心】事故米→正規米→国産米、流通過程で変わる米産経新聞

 農薬メタミドホスに汚染された事故米の流通ルートをたどっていくと、あぜんとするしかない事実が待ち受けていた。農薬にまみれた中国産の米は「普通の米」になり、さらに別の業者の手で国産や米国産に化けて消費者の口に入っていた。日本の主食である米の流通の「闇」までも照らし出した三笠フーズ問題。あなたが食べているお米やお菓子、もしかしたら…。
 農林水産省が公表した汚染米流通関連企業のうち、末端のお菓子店を中心に購入状況を確認してみた。公表に対する怒りや不安を聞きながら、どこの産地の米として購入したかを聞き出すと、その大半から「国産に決まっている」という答えが返ってきた。
 ルートの上流を一つさかのぼり、中小の卸業者に確認しても結果はほぼ同じ。いくつかの業者の仕入れ先だったさらに上の加工業者に取材しても「国産」だった。しかし、その上の仲介業者は「中国産として売った」と証言した。
 それより上の業者はいずれも「中国産として購入し、中国産として売った」と話したため、この2社を経るころに国産に変わったとのではないかと推察できた。それぞれの言い分はこうなっている。
 上の仲介業者は「中国産の古米として仕入れ、そのまま売った。値段も中国産レベル」。下の加工業者は「国産のもち米として国産の相場で仕入れた。老舗として築いてきた信用を壊すようなことをするわけがない」。
 主張は平行線で真相は分からないが、流通過程での産地偽装はこれだけにとどまらない。近畿の病院や高齢者福祉施設、保育園に給食として流通したもち米はカリフォルニア産。これも流通途中の2業者で主張が食い違っている。
 衝撃の事実も判明した。農水省が業者名を公表した16日の深夜、首をつって自殺した奈良県内の米穀販売業者も中国産として仕入れたもち米を国産として販売していたという。
 こうした偽装を生む背景には、米の取引のずさんさもある。多くの伝票には産地は明記されず、明記されていても流通途中で消えてしまうことも多い。中には「米粉だから産地は気にしていなかった」と話す業者もいた。
 「ずっと国産と思って取引していたから」「レベルの高いものを頼んでいるから国産品で当たり前でしょう」と、確認すらしていない業者も少なくなかった。北陸地方の業者は「ちょっと待ってよ。産地は企画書に書いてあるから。見てくるわ…富山県産70%、タイ産30%だったわ」と意にも介していない様子だった。
 こういった米の流通の仕方は業界では当たり前なのか、それとも三笠フーズに端を発した特異なケースなのか、米と一緒で見た目だけでは分からない。

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