記事登録
2008年09月19日(金) 15時01分

<名義貸し>医師に現金最高2000万円 警視庁、処分要請毎日新聞

 東海大医学部OBの男性医師4人が、診療報酬を詐取したとして逮捕された元医療コンサルタント会社経営、南部美幸被告(54)=詐欺罪で公判中=に医師名義を貸した見返りに現金2000万〜30万円を受け取っていたことが、警視庁組織犯罪対策1課の調べで分かった。4人は「不正請求は知らなかった」と釈明したことから、同課は立件を見送ったが、4人が名義を貸したクリニックがあった東京、千葉、神奈川の各社会保険事務局に行政処分をするよう異例の通報を出した。

 起訴状などによると、医師免許がなかった南部被告は04年11月から07年10月にかけ、新宿区や横浜市などの雑居ビル4カ所に、4人を開設者とする内科・胃腸科などのクリニックを開設していたが、診療の実態はなかった。一方で、会員制の健康サービス会社が開いたイベントの会場で「無料で血液検査が受けられる」などと持ちかけ入手した保険証番号を悪用し、診察をせずに支払い審査機関に診療報酬を請求していた。詐取総額は約2億5500万円に上る。

 組対1課や関係者によると、南部被告は、東海大医学部講師の仲介で4人と知り合った。千葉県浦安市のクリニック開設に名義を貸した男性医師(42)が、最高額の2000万円の報酬を受け取ったほか、残る3人も30万〜80万円を受け取ったという。いずれも、都内や神奈川県内の東海大付属病院などに在籍しながら、名義だけを貸していたという。

 男性医師は、組対1課の調べに対し「南部被告に利用されただけで自分は被害者だ」と話しているという。

 東海大によると、付属病院の医師がクリニックを開設したり、無許可で兼業することは禁止されている。同大は今年4月、当時付属病院に在籍していた医師2人を勤務規則違反で処分したが、男性医師ら2人は名義を貸した時点では既に別の病院に移るなどしていたため処分を見送った。同大医学部は「重大な規則違反で遺憾だ。詐欺行為との関連は捜査中のためコメントを控えたい」としている。【武内亮】

【関連ニュース】
診療報酬不正請求:鳥取の眼科、保険医登録取り消し 患者56人分、22万円 /鳥取
旧国立病院:全患者に詳細領収 今月から試行、来年以降順次拡大
診療報酬不正請求:歯科医の保険医登録を取り消し /熊本
診療報酬不正請求:札幌の歯科医、保険医登録取り消し−−道社保事務局 /北海道
選挙:衆院選 県医師連盟「民主応援」 高齢者医療巡り反旗、自民危機感 /茨城

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20080919-00000062-mai-soci