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2008年09月19日(金) 08時03分

福田衣里子さん命懸けの出馬…民主・小沢代表口説き落としたスポーツ報知

 薬害肝炎訴訟原告の27歳 薬害肝炎訴訟原告の福田衣里子さん(27)が18日、次期衆院選長崎2区に民主党から立候補することを表明した。長崎市内で行われた記者会見には、民主党の小沢一郎代表(66)も同席。福田さんは「薬害問題を通して、多くの人が官僚政治の犠牲になっていることを痛感した。変えなければ悲劇が繰り返される」と決意を訴えた。長崎2区では自民党から現職の久間章生元防衛相(67)らも出馬を表明している。

 「命は待ってくれない」−。出生直後に血液製剤を投与されC型肝炎に感染した福田さんは、実名を公表し薬害肝炎九州訴訟を闘ってきた。その結果、裁判が和解し救済法も成立。しかし福田さんが全国各地の講演会で聞いたのは、なお救われない人々の声だった。

 「穏やかに生きたい思いもあったが、自分だけのことを考えるわけにいかない。命の時間がない人たちがいるのを知っているのかという怒りがありました」

 今年2月に出馬を打診されたが、前向きにはなれなかったという。「正直イヤだと思ってしまいました。政治の世界に恐怖心がありました」。絶望もあった。「司法も行政も政治も何もしてくれない…」。

 それでも飛び込む決心をしたのは「多くの命を奪うのも政治なら、多くの命を救うのも政治」と痛感したからという。超党派の議員が取り組んだ薬害問題。「一緒になって怒って笑って泣いてくれる議員さんたちがたくさんいた。一緒に解決していった。でも私は何も法律とか知らないからリンゴをむいたりしてました」

 なぜ民主党から出馬かの問いに「すべての党のみなさんに助けていただき、どの党がいい悪いはない」とした上で「今までの体制では何も変わらないのは確か。一部の企業のための政治、官僚のための政治、政治家のための政治ではなく、国民のための政治を取り戻さなければならない。現状を変えなければ」と政権交代を訴えた。

 すべてを費やした訴訟も区切りがついた。「青春もなかったんだから結婚して子どもを生んで1人の女性に戻ってほしい思いが両親には強かったように思います」。それでも両親は「人生は一度きり。やりたいようにやりなさい」と、背中を押してくれた。

 「命を救うには、命がけでなければならない覚悟で今生きている。誰かが政治の場で、現場の声を叫び続けなければならない」。選挙戦の相手はあの「原爆…しょうがない」発言の久間氏。福田さんは「長い実績がある方なので大変な戦いになる」と身長150センチの小さな体を奮わせた。

 ◆福田 衣里子(ふくだ・えりこ)1980年10月30日、長崎市出身。27歳。99年3月、長崎県立長崎西高卒。99年4月、広島修道大入学、02年3月中退。04年3月、薬害肝炎九州訴訟で実名を公表し提訴。08年5月、厚労省「薬害肝炎事件の検証及び再発防止の為の医療行政のあり方検討委員会」委員に就任。08年8月、薬害肝炎九州原告団長就任。著書に「It’s now or never〜私は早く、C型肝炎とさよならしたい」「日本の薬はどこかおかしい」がある。

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20080919-00000087-sph-soci