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2008年09月18日(木) 08時01分

【Re:社会部】迷いザル追いながら産経新聞

 “渋谷の迷いザル”が一向に捕まりません。8月20日に渋谷駅に現れて以来、都内各地を転々とする1頭のサルに、警察もマスコミも翻弄(ほんろう)され通しです。ほかならぬ私も、サルを追いかけ汗だくになった一人です。

 「まるで昔の武家社会のようだ」。ニホンザルの世界をそう表現するのは、上野動物園(東京都台東区)教育普及課の佐川義明さん(61)。同園の猿山では、28頭の雌ザルたちが、1頭の雄のボスザルの下に徹底した階級社会を形作っているのだといいます。

 ボスの寵愛(ちょうあい)を受けた雌ザルには、餌を先に食べられるなどの特権が与えられます。さらに、高位の雌から生まれた雌の子ザルには、生まれながらに高い地位が約束されるなど、まるで江戸時代の大奥そのもの。

 一方、渋谷のサルは、故郷の山でボスになれなかった多くの雄の1頭だとのこと。彼らは若くして群れを離れて“浪人”生活を送る傍ら、ボスの目を盗み、群れの雌の寝床に潜り込んで子孫を残すのです。そして、老いたボスを襲い、群れを乗っ取る下克上の機会を虎視眈々(たんたん)と狙っています。権力争い。身分格差。放浪生活…。迷いザルを追いかけていくうちに、人間社会の縮図を見せつけられたような気がしないでもありません。(玉)

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20080918-00000071-san-soci