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2008年09月16日(火) 00時26分

<米リーマン>破産法申請へ バンカメはメリルリンチ買収毎日新聞

 【ワシントン斉藤信宏】深刻な経営難に陥っていた米証券大手リーマン・ブラザーズは15日未明、連邦破産法11条に基づく会社更生手続きの適用を裁判所に申請すると発表した。昨年8月の金融危機で表面化した低所得者向け高金利住宅ローン(サブプライムローン)問題は、ついに米国を代表する老舗の大手証券の経営破綻に発展した。米金融業界では、破綻が連鎖する可能性もあり、世界の金融市場に深刻な影響を与えるのは必至の情勢。米国は戦後最悪の金融危機に直面している。

 一方、米金融大手バンク・オブ・アメリカ(バンカメ)は同日、米証券大手メリルリンチを500億ドル(5兆2500億円)相当の株式交換で買収すると発表。メリルも株価の急落で経営危機に陥っており、事実上の救済合併で、過去最大級の業界再編となった。さらに、同じく株価が急落している米保険最大手AIGも同日、100億ドル規模の増資計画とリストラ策、米連邦準備制度理事会(FRB)への400億ドルのつなぎ融資申請を公表した。

 FRBは混乱を避けるため、証券会社向けの資金供給制度を拡大すると発表。米財務省や日欧の中央銀行などと連携して市場の動揺を抑えるためにあらゆる対策を講じる構えだ。一方、米シティグループなど欧米の金融大手10社は、市場の混乱に備えて、共同で計700億ドルの基金を設立すると発表した。1社あたり70億ドルを拠出してお互いの資金繰りを支え合う。

 リーマンは、8月末までに計140億ドル超のサブプライム関連損失を計上し、2四半期連続で大幅赤字に陥っていた。出資を求めてきた韓国産業銀行との交渉が不調に終わったことをきっかけに、9日以降の4日間で株価が80%下落。12日夜から米金融当局と大手金融機関の代表がバンカメや英金融大手バークレイズなどによる買収を軸に救済策について断続的に協議したが合意に至らず、破産法申請に追い込まれた。

 リーマンは計7000億ドル超のデリバティブ(金融派生商品)の取引残高を持つと見られており、各金融機関は契約の清算を急いでいる。ただ、市場の混乱回避は難しく、金融大手各社は万一に備えた資金融通策の確保に追われている。

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