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2008年09月16日(火) 21時35分

パラリンピック 山本が銀メダル…陸上の男子走り幅跳び毎日新聞

 【北京・飯山太郎】北京パラリンピックは第11日の16日、国家体育場などで各競技を行った。陸上の男子走り幅跳び(切断など)は、山本篤(静岡)が5メートル84で銀メダルを獲得。男子八百メートル(車いす)に出場した伊藤智也(三重)が四百メートルとの2冠を達成し、日本に5個目の金メダルをもたらした。高田稔浩(福井)も銀メダル。男子四百メートルリレー(切断など)の決勝に臨んだ日本は、引き継ぎ違反により失格となった。

 車いすラグビーの日本は、中国に58−32で勝って7位だった。

 男子四百メートル(切断など)は、オスカー・ピストリウス(南アフリカ)が47秒49の世界新記録で制し、百、二百メートルと合わせ3種目制覇を果たした。

 ◇「実業団も受け入れる契機になれば」…左脚義足の山元

 3回目の跳躍で、左脚の義足に体重が乗った気がした。山本は「『来た』と思った」。そのまま左脚で踏み切ると自己ベストの5メートル90には届かないものの5メートル84の好記録。この種目は記録がポイント換算されるため、順位は2位に。「結構良い記録だったので相手にプレッシャーを掛けられた」。他選手のミスも相次ぎ2位に入った。

 00年に交通事故で、左脚の太ももから下を失った。かつては右脚で踏み切っていたが、04年の記録会で歩幅があわなかったため、たまたま左脚で踏み切ったところ、従来の自己ベストを約1メートルを超える好記録が出た。

 助走のスピードを生かすには「踏み切る脚は足首とひざをロック(固定)しないといけない。だが、義足の脚だとあらかじめ固まっており、ロックせずとも、地面からの反発力に体を乗せれば良い」。大会を連覇したドイツ選手も義足を付けた脚からの踏み切り。世界のトレンドに乗った山本の跳躍でもあった。

 昨年までは大体大陸上部に所属していたが、今年4月に実業団陸上の強豪・スズキに入社。現在は同社陸上部唯一の障害者選手として、健常者の選手たちと一緒に練習を積む。「実業団選手ということで『良い結果を残さないと』という気持ちもあった。このメダルで実業団も障害者選手を受け入れる契機になれば」。障害者スポーツの可能性を切り開きつつある26歳が、初のパラリンピックで大きなメダルを獲得した。【飯山太郎】

 ○…高田が四百メートルに続き、伊藤との「ワンツーフィニッシュ」で2位に入った。「近くにスタートダッシュが得意な選手がおらず幸運だった」。100メートル過ぎから伊藤の後ろにつき、集団から抜け出した。「後は伊藤さんを風よけにした。一人ではあそこまで行けなかった」。ラスト100メートルでの逆転はならなかったが、今大会二つ目のメダルを手にして「長女と次女に一つずつメダルを持って返れます」。12歳の次女は自らと同じ遺伝性の筋力の衰える難病を抱えており「障害を抱えても頑張れることを知って欲しかった」。途中から43歳の父は涙で言葉が出なかった。

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