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2008年09月15日(月) 12時29分

米リーマンが破産申請の可能性、メリルはバンカメが買収へロイター

 [ニューヨーク/ワシントン 14日 ロイター] 米金融セクターは14日、投資銀行大手リーマン・ブラザーズ・ホールディングス<LEH.N>の破産法適用申請見通しや大手銀バンク・オブ・アメリカ<BAC.N>によるメリルリンチ<MER.N>買収の見通し、保険大手アメリカン・インターナショナル・グループ(AIG)<AIG.N>の資産売却見通しといった前例をみない規模の激震に見舞われた。
 この日の展開は、住宅市場のバブル崩壊と信用危機が13カ月目を迎える中、ウォール街や米政府が選別的救済の必要性を認識した可能性を示唆している。
 経営危機に直面する米リーマンの救済策をめぐる週末の官民協議は、3日目となる14日、リーマンの不動産関連資産など不良資産を除いた残りを買収する最有力候補とみられていた英銀大手バークレイズ<BARC.L>が交渉から撤退した。
 これをきっかけにリーマンが破産法の適用を申請するとの見方が強まり、デリバティブ(金融派生商品)市場は14日、ディーラーがリーマンに対するエクスポージャーを減らせるよう緊急に市場を開いた。
 国際スワップ・デリバティブ協会(ISDA)は声明で、ニューヨーク時間(米東部時間)の午後2時(日本時間15日午前3時)から2時間、デリバティブ市場を開くことを明らかにした。市場筋によると、その後2時間延長されたが、引け後もリーマンへのエクスポージャーを縮小する動きが続いている。
 取引されているのは、クレジット、株式、金利、外為、商品のデリバティブ。市場筋によると、休日の特別取引は連邦準備理事会(FRB)の要請により始まった。リーマンが破産申請した場合のリスクを減らすことが目的。
 声明によると、「取引は、ニューヨーク時間の14日午後11時59分(日本時間15日午後零時59分)までのリーマン破産申請を条件とする。もし申請がなかった場合は、取引はなかったものとする」としている。
 米債券運用会社PIMCOのビル・グロース氏は、取引は「かなり少なくおそらく総額10億ドル程度だろう。しかし社債のスプレッドはかなり拡大した」と述べた。
 一方、リーマンの破産申請見通しを受けて米株価指数先物は急落、S&P総合500種指数は36.40ポイント安の1222.10をつけた。ドルはニュージーランド外為市場の15日朝方の取引で対ユーロ、対円で下落した。 
 リーマンの救済策をめぐる官民協議では、ポールソン財務長官のスタンスが今回の結果をもたらす要因の一つとなった。
 関係筋によると、長官はリーマンの危機解決を目指したいかなる合意にも公的資金を投入することに強く反対した。
 また別の関係筋によれば、そうした政府の保証のないことが、バークレイズの交渉撤退決定の最大の理由だったという。
 リーマン救済策としては、同社の不良資産を分離する案が選択肢の一つとして検討された。この選択肢が破産法適用申請に含まれているかはこれまでのところ明らかではない。
  またウォールストリート・ジャーナル(WSJ)紙はAIGが航空機リース事業を含む資産を売却する見通しだと伝えた。

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20080915-00000432-reu-bus_all