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2008年09月15日(月) 02時00分

<高温水>台湾大地震の断層に痕跡発見 ずれ拡大解明に道毎日新聞

 99年の台湾大地震を起こした「チェルンプ断層」をつくる岩石のすき間に350度以上の高温水が存在した痕跡を、海洋研究開発機構が発見、15日付の英科学誌ネイチャー・ジオサイエンス電子版に掲載した。水の沸点を上回っているが、高圧だったために液体として存在したとみられる。台湾大地震級の大地震を起こす仕組みの解明に役立つという。

 断層のずれで摩擦熱が発生、水圧が上昇し岩石の強度が低下する。これが断層のずれを大きくし、被害を拡大すると70年代から言われてきた。だが、震源が深いなどの理由で調査が難しく水の存在は未確認だった。

 台湾大地震の地震の規模を示すマグニチュードは7.6で、死者2413人を出した。

 研究チームは、震源から約70キロ離れた地表が約8メートルもの段差を起こしたことに注目。段差をもたらした深さ約1100メートルの断層の岩石を採取し、水と反応しやすい元素セシウムやルビジウムの含有率を調べた。

 その結果、セシウムの含有率は地震発生前に比べ50%、ルビジウムは30%減少したことが分かった。また、減少率を再現する実験から、地震発生時に岩石の状態は350度以上、400〜800気圧だったと推定した。

 分析した石川剛志リーダー(地球化学)は「現在の断層付近の地温は50度以下で、高温になる要因は断層のずれによる摩擦熱以外に考えられない」と話す。【斎藤広子】

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http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20080915-00000007-mai-soci