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2008年09月15日(月) 11時16分

「素人」目線を活用、社内にカツ 女性企画チーム、V字回復に貢献 新宿さぼてん産経新聞

 企業での女性活用が話題となっているが、その実効はまちまち。女性企画チームが業績回復の立役者になったケースもある。とんかつ専門店「新宿さぼてん」などを展開するグリーンハウスフーズ(東京都新宿区)は、女性企画チームの活躍で業績をV字回復させている。「とんかつ=男性」の先入観を覆し、女性ならではの視点で商品開発や販促に取り組んでいる。(松岡朋枝)
 同社の業績は、売上高が2006年3月期まで10年連続で6%強ずつ減少し、「あと2年で赤字になる危機的状態」(広報担当)にあった。04年に日本マクドナルドから同社に入社した上田実取締役(51)は、全国440店舗を視察。「社内には男性客が中心という意識が根強かったが、実は女性が来店客の大半を占めていた」ことに驚いた。
 事実、当時の客層はレストラン業態で51%、総菜販売店では75%が女性。しかし、商品開発や販促を男性が担当し、女性へのアプローチが不足していたのだ。20〜30代の女性客の開拓を目的に社内外から抜擢(ばつてき)されたのは、商品開発や販促に携わったことのない「素人」(上田取締役)女性9人。600人の女性消費者によるモニター制度も導入し、05年秋にプロジェクトがスタートした。
 会議は毎週木曜日。毎月1、2種類の新商品を発売することを目標に商品開発に取り組む。「スイートポテトコロッケ」や「豚トロさといも揚げ」などこれまでにない商品が続々登場。斬新すぎるあまり、店頭での売り上げにつながらない商品もあったが、「えびグラタンコロッケ」などヒット商品も生まれた。商品開発担当マネージャーの川本麻衣さん(28)は「600人の女性モニターの意見は貴重。決して妥協できなかった」と振り返る。
 女性の視点が生かされた商品は、総菜店の女性販売員の支持の獲得にもつながった。女性のために女性が考えた商品を女性が販売する。「女性で一貫したつながり」(川本さん)が構築できた。
 しかし、商品開発と店頭で女性が活躍するものの、店舗や地域を統括する社員は男性が中心。販売目標の達成に重点を置く男性のやり方に「開発の思いや、こう売ってほしいという気持ちが現場に伝わらない」(レストランの販促・広報担当の石森美和さん=31)と悩むこともあった。そこで、商品の開発背景や原料調達の様子をワイドショー風にまとめたDVDを作成。店舗に配布し、商品の特徴などをわかりやすく伝えた。店舗接客の問題点を伝える自作のコントを披露し、社内の意識改革にも取り組んだという。
 同社の07年3月期の業績は売上高が前年比3%増、利益率も大幅に改善した。女性の役割への重要性を認識する声も高まっている。07年12月には大半を女性が占める総菜店の契約社員を正社員に登用。結婚、出産後も働く女性が増加した。
 取り組み開始から3年。女性企画チームは予想以上の成果をあげ、社内の意識改革も進んだと上田取締役。今後は、「女性ならではの視点」を販促など外向けの活動にも生かしていきたいと考えている。

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