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2008年09月15日(月) 22時31分

「ヨコヅナ−」コミカルで切ない青春映画産経新聞

 男の子に生まれながら心は女の子という少年が、身心ともに女の子になりたいという夢をかなえるため、高校生力士の頂点をめざす。韓国映画「ヨコヅナマドンナ」は、ちぐはぐでコミカルで、限りなく切ない青春物語だ。

 オ・ドング(リュ・ドックァン)は性同一性障害に悩む、ぽっちゃりと太めな高校1年生。将来は歌手のマドンナのようになりたいと夢想している。そこからして絶望的な未来がかいま見えるのだが、本人は真剣だ。マドンナも「夢を信じる」と歌っているではないか。

 ドングのお目当ては、学校のイケメン日本語教師だ。性転換手術で美少女に変身したら、恋心を打ち明けようと思っている。韓国語ペラペラの草ナギ剛が少しも浮き上がることなく、きまじめで神経質なこの教師役を好演している。

 周囲の偏見をものともせず、手術費用調達のため肉体労働のアルバイトに励むドングのもとに貴重な情報が舞い込む。市の高校生シルム(韓国相撲)大会の優勝者に高額な奨学金が支給されるというのだ。一獲千金を果たせば、夢は近づくのだが…。

 ドングの複雑な家庭環境や、シルムの迫力あるぶつかり合い、シルム部に属する部員たちのあやしくも個性的な横顔もうまく描かれている。シルム部の主将役で気になる演技をみせてくれたイ・オンが8月21日未明、交通事故のため27歳で亡くなったのは、惜しまれる。イ・ヘヨン、イ・ヘジュン脚本&監督。東京・有楽町のシャンテ・シネほかで公開中。(宝田茂樹)

ナギ=弓へんに剪

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