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2008年09月15日(月) 22時06分

拉致家族「時間稼ぎは許さない」産経新聞

 「時間稼ぎは許さない」−。拉致被害者の家族会などは15日、東京都千代田区永田町の星陵会館で、緊急国民集会を開いた。金正日総書記が日本人拉致を認め、謝罪した「9・17」から間もなく6年。被害者に関する再調査を先延ばしする北朝鮮に対し、家族からは「不誠実な対応には強い追加制裁を」との声が上がった。

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 北朝鮮は、福田康夫首相の辞任表明を受け、日朝協議で合意した被害者に関する再調査のための「調査委員会」設置を見送るなど、相変わらず不誠実な対応をとり続けている。

 家族会代表、飯塚繁雄さん(70)は「北朝鮮は秋までに(調査結果を)報告すると言っておきながら、すっぽかした。私たちは何回もだまされ続けてきた。日本政府は絶対許さない、戦うという意思を見せないと、北の思惑通りだまされ続ける」と、日本政府に強い姿勢を求めた。

 自民党の総裁選が始まり、解散・総選挙も近いとされる中、飯塚代表は「新総理は拉致問題を最優先課題としてほしい」とも。

 横田めぐみさん=拉致当時(13)=の母、早紀江さん(72)は「政治家が毅然(きぜん)と言葉を発し、一刻の猶予もない命、今助けないと助けられない命ということを考えてほしい」と訴えた。

 集会では、北朝鮮で救出を待つ被害者に向けたメッセージを家族が1人ずつ読み上げた。

 めぐみさんの父、滋さん(75)は「めぐみちゃん。お父さんです。国民集会に参加しています。非常に熱気が伝わってきます。国民のみなさんの力、政治家のみなさんの力でもうすぐ解決すると思います。健康に気をつけて待っていてください」と語りかけた。

 また、元北朝鮮工作員の金東赫(仮名)さんがビデオ映像で参加。その中で、拉致被害者を調べている「特定失踪(しっそう)者問題調査会」のリストにある、昭和50年4月に兵庫県高砂市から失跡した萩本喜彦さん=失跡当時(35)=を目撃したと証言した。

 家族会は同日、集会に先立って総会を開き、福田首相を継ぐ次期首相に対し、これまでの政府方針を堅持し、北朝鮮により強い態度で臨むよう求めるなど、当面の運動方針を決めた。

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