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2008年09月14日(日) 18時23分

酒断ち奏功!還暦の大井が銅 パラリンピック陸上男子円盤投げ産経新聞

 【北京=川越一】北京パラリンピックの陸上男子円盤投げで14日、元漁師の還暦アスリート、大井利江選手(60)=岩手=が26メートル21投げ、障害クラスの統合を乗り越えて銅メダルに食い込んだ。大好きな酒を断って臨み、前回の銀に続くメダルだった。だが、「金メダルを取ったときが“成人式”」と、4年後まで再び断酒を誓った。

 1投目、右手から放たれた円盤が左にそれた。指のかかり具合を試したが、どうもしっくりこない。「ちょっと力が入りすぎた。体が思うようにできなかった」。円盤が狙ったほど高く上がらない。3投目以降、記録が伸びず、目標にしていた27メートル台に届かなかった。

 上位2人は障害が1段軽いクラスだったが、3位は3位。自己の持つ日本記録(26メートル62)の更新もできなかった。7月の岩手北部地震で筋力トレーニングに使っていたプールが損壊し、練習にも支障が出たが、言い訳はしない。「3位に入ったことは自分でもびっくりしています。自分の記録を破りたかったけど、そこまで届かなかった。悔しい思いがある」。海の男は汗をぬぐった。

 1989年、ミッドウェー沖で操業中の漁船をしけが襲った。20キロもある漁具が首を直撃し、頚椎(けいつい)を損傷した。リハビリのため通っていたプールで友人から円盤投げを勧められた。大会で惨敗したことに発奮。妻の須恵子さんのサポートを受けながら練習に明け暮れた。

 1升2升は平気で空けていた酒豪が、アテネ大会の3年前から酒を断った。金メダルを取るまでは飲まないと誓った。「けがをしたのが19年前。だから自分はまだ19歳。金メダルを取ったときが成人式。酒も飲めるしね」

 還暦を迎えた“未成年”は、4年後のロンドンで大人の仲間入りをするつもりだ。

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