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2008年09月14日(日) 07時02分

妹の形見を胸に 浅尾が涙の1勝スポーツニッポン

 ビーチの妖精が悲しみを乗り越え、12年ロンドン五輪出場へ再スタートを切った。ビーチバレー女子の浅尾美和(22=エスワン)が13日、福井・美浜町で行われた「JBVグランドスラム美浜大会」予選リーグに西堀健実(27=同)とのコンビで出場。5日に妹の美紀さん(享年17)を亡くしてから初めての試合で、2戦ともに2—0と快勝し、14日の16チームによる決勝トーナメントへ進出した。

 試合後は明るく振る舞っていた浅尾も、美紀さんの話になると、こみ上げる感情を抑えることができなかった。「応援してくれていると思う。しっかり見てくれていると思います。これは妹からもらってきました」。そう言って左腕に巻いた喪章とともに、首につけていた妹の形見であるペンダントに手をやり、目に涙をあふれさせた。

 美紀さんは8月13日に三重・鈴鹿市内で自転車に乗っている際に乗用車と接触。頭を強打して意識不明の重体が続き、5日に帰らぬ人となった。悲報を聞いた浅尾も出場予定だった岡山での大会をキャンセルし、鈴鹿市内の実感へ戻っていた。それでも、「みんなに迷惑をかけたから私がやらなきゃ」と9日に今大会への出場を決意。練習ができたのは11日の1日だけとあってサーブミスが目立ったものの、軽快な動きを披露して2試合とも完勝した。

 北京五輪はテレビ局のキャスターとして現地リポートし、日本が金メダルを獲得した女子ソフトボールなどを観戦。「4年後は絶対、私がインタビューされる側になりたい」と宣言するほど刺激を受けた。悲しみを背負って臨んだ今大会についても「自分たちのいいところは、元気に声を出して笑顔でプレーすること。常に笑顔でやります」ときっぱり。4年後、美紀さんに笑顔で報告するために、目標のロンドン五輪出場へ再スタートを切った。

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20080914-00000039-spn-spo