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2008年09月14日(日) 03時07分

北朝鮮、米の核検証新草案に回答せず…金総書記の病状影響か読売新聞

 【ワシントン=宮崎健雄】北朝鮮の核問題をめぐる6か国協議で、米国側が8月下旬、北朝鮮側に核検証手続きに関する新しい草案を提示したところ、北朝鮮は全く回答を示さず、交渉が事実上中断していることが12日分かった。

 米政府高官が明らかにした。

 この高官は理由について、「金正日総書記の病気を排除できない」として、北朝鮮担当者が、金総書記から新草案に対する回答の指示を受けられない状況にある可能性を指摘した。6か国協議の停滞が、長期化する懸念も強まっている。

 高官によると、米国務省のソン・キム6か国協議担当特使が8月22日、ニューヨークで北朝鮮当局者と会談し、新草案を手渡した。高官は新草案の中身を明らかにしなかったが、6か国協議筋によると、北朝鮮は7月に提示された旧草案で、核物質のサンプル採取やすべての核関連施設を立ち入り対象とすることに難色を示し、その後正式に拒否しており、これらの文言を一部修正したとみられる。

 新草案は、北朝鮮が受け入れやすいよう、いわば配慮した形だが、北朝鮮当局からはその後、直接の回答が一切ない異例の状態が続いているという。

 金総書記は8月中旬から下旬にかけて、「脳卒中」を起こしたとみられており、高官は金総書記が新草案に対する交渉の対応を指示できない状況にある可能性を指摘。一方、北朝鮮が無能力化を進めてきた寧辺(ヨンビョン)の核施設で「復旧作業」が始まった点については、金総書記が脳卒中を起こす前に指示を与えていたとみている。

 高官は「我々ができるのは、待つことだけだ」として、米国もこれ以上の譲歩はしない方針を示した。

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20080913-00000052-yom-int