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2008年09月14日(日) 21時45分

<事故米転売>一部架空売買も初めて認める…三笠が釈明書毎日新聞

 三笠フーズの冬木三男社長が14日、汚染米転売について「お詫(わ)び及び釈明」とする文書を発表した。「万死に値する」「司直の手にゆだね、厳しい裁きを受ける覚悟」と改めて謝罪。一部の取引が帳簿上の架空売買だったことも初めて認めた。しかし、市場に出回った餅米から基準値を超えるメタミドホスが検出されたことに言及はなく、「安全と考えた」との従来の主張を繰り返した。

 釈明書はA4用紙1枚。「国民の皆様」に対するおわびに加え、(1)汚染米を扱うに至った経緯(2)取引実態(3)汚染米と金の流れ−−について説明している。

 不正の経緯に関しては、取引先の「宮崎商店」(福岡県)が倒産し、同社の「糊(のり)加工原料買付資格」を買い取ったのが事故米にかかわるきっかけだったとした。同社から三笠フーズに転職した宮崎一雄・特別顧問から「上手にやればもうかる。私は十数年やって、熟知している」と言われ、「利益の上がる商売になりそう」と決断したという。その後は、宮崎顧問が汚染米の扱いを指揮し、「もうかるならそれでよい」と任せきりにしていたとしている。

 宮崎顧問は毎日新聞の取材に「(事故米転売は)提案していない」と話している。

 また、メタミドホスについては、釈明書で「時間とともに毒性が減少する」と説明。自主検査で安全基準値(0・01ppm以下)だったため、安全と考え販売に踏み切ったという。同社の出荷前検査は、20回近い出荷回数のうち10回程度しか実施していなかったことが既に判明しているが、検査の頻度には触れていない。

 さらに、メタミドホス汚染米の流通に関しては、約350トンを福岡県の「山川食糧」に売却したが、帳簿上は佐賀県の仲介業者「マルモ商事」へ架空計上していたと明らかにした。他にも福岡県の「森本商店」に10トン出荷したと記したが、「それ以降は全く関知していない」と流通経路の詳細は明かさなかった。また、山川食糧社長とは約4年前に1度会っただけで、マルモ商事社長とは面識がないと説明した。

 冬木社長は問題発覚翌日の6日に会見したものの、その後は公の場に姿を現していない。広報担当者によると、9日を最後に会社にも出社しておらず、「どこにいるか把握していない状態」だという。【根本毅】

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