記事登録
2008年09月14日(日) 00時46分

焼酎回収100万本超す 「汚染米」拡大の一途中国新聞

 米粉加工販売会社「三笠フーズ」(大阪市)の残留農薬やカビ毒に汚染された事故米を原料に使用した焼酎や日本酒の自主回収は十三日までに、全国で百万本以上に拡大した。保育園、病院では事故米の消費が確認されるなど不安が高まっている。同社の汚染米は、二種類の農薬と一つのカビ毒の計三ルートで流通。農林水産省などは経路の確定を急ぐが、複雑な取引の特定に作業は難航している。

 農水省は今月五日、農薬メタミドホスやカビ毒アフラトキシンが基準値を超えて残留している汚染米が食用として不正転売され、九州の焼酎メーカーなどに流れていたと発表。汚染米は、同省が中国、ベトナム、米国から輸入したもち米とうるち米だった。

 同省の発表直後から自主回収が相次ぎ、九州の焼酎メーカーだけでなく、飲料メーカー大手のアサヒビールも巻き込んで広がっている。

 アフラトキシンを含むうるち米と農薬アセタミプリドに汚染されたうるち米の二つの流通先は、ほぼ九州の焼酎メーカーに限定されて転売され、喜界島酒造(鹿児島)などの焼酎製造会社が被害を受けた。

 これに対し、メタミドホスに汚染されたもち米の流通先は、米穀加工業者、食材卸業者、和菓子製造業者などと複雑なルートをたどり、地域的にも関西、東海、関東地方と九州以外の広範囲にわたっている。同省は、このルートで保育園や病院に汚染米が流れていることを確認。早期の全容解明を目指しているが、最終商品に至る過程の把握は難航している。今後も汚染米の新たな流通先が判明することも想定される。

 三笠フーズは過去五年間で計五十三回、農水省から汚染米を含めた事故米を購入。購入量は、非食用を条件に買い付けた十七業者のうち最多だった。

 三笠フーズ以外にも、接着剤製造業者「浅井」(名古屋市)と肥料製造業者「太田産業」(愛知県小坂井町)の二社の不正販売問題も判明。工業用のりに使途を限定して購入した汚染米を、のり以外の用途として流通させていた。

 汚染米は農薬やカビ毒を含んで食用にならないコメで、工業用のりなど、非食用に用途を限定して販売している。

http://www.chugoku-np.co.jp/News/Sp200809140185.html