記事登録
2008年09月14日(日) 20時17分

中国初の船外宇宙遊泳「神舟7号」打ち上げへ 「宇宙大国」印象づけ産経新聞

 【北京=野口東秀】中国が次期有人宇宙船「神舟7号」を国慶節(10月1日)前の今月下旬に打ち上げる可能性が高まっている。計画中の「宇宙ステーション」建設につなげるため、飛行士による初の船外宇宙遊泳実験を行う。「有人飛行は国家の科学技術水準を反映する」と考える中国にとって高い技術力をアピールし、「宇宙大国」ぶりを内外に印象付ける狙いがある。北京五輪に続き愛国主義を高め、民族団結と国威発揚を図る政治目的も横たわっているといえそうだ。

 打ち上げは、今月25日ごろから30日までの間に実施されるとみられている。

 2005年の有人飛行船「神舟6号」、昨年の月探査衛星「嫦娥1号」の打ち上げに続く、重要な国家プロジェクトとなる。

 報道を総合すると、「神舟7号」には飛行士3人が乗り組み、中国人初の宇宙遊泳を立体映像化し、中国で生中継するとみられる。「国産」をアピールすることも政権の求心力を高める側面がある。

 船外活動の実施は、宇宙船のドッキング技術を確立するとともに、人間が滞在可能で、軌道上を長期にわたり自力飛行する「宇宙ステーション」プロジェクトを視野に入れたものだ。

 中国は同ステーション建設のために欠かせない、新世代の大型運搬ロケット「長征5号」の開発を急ピッチで進めている。近い将来、20トン程度の小型宇宙ステーションを建設する方針で、海南島に宇宙ステーション用の打ち上げ施設の建設が決まっている。

 中国は昨年1月に弾道ミサイルによる気象衛星の破壊実験を実施するなど、その宇宙開発に脅威論が高まっているが、中国は脅威論を打ち消そうと宇宙空間の平和利用を強調している。

 中国は今年だけで10基前後の衛星を打ち上げ、昨年までに設計・製造した衛星は計88基に上る。宇宙技術研究院は「中国の宇宙技術は新たな段階。衛星の製造に要する時間は短縮され、国産衛星の精度は向上し、寿命も延びた」と自信を見せている。

 こうした積極的な宇宙開発の背景にあるのは、「今世紀半ばまでに、世界の科学技術強国となるための基礎を築く」(国家中長期科学技術発展計画綱要)という国家目標だけではない。有人宇宙飛行開発が「医学、製薬、航空など各分野で無限のビジネスチャンスとなる。宇宙産業規模は1000億元(1元約16円)を超える」(中国誌)と見込まれるなど、経済にプラスの影響をもたらすといった戦略もある。

【関連記事】
中国の次期有人宇宙船「神舟7号」、予定を早め9月に打ち上げか
中国、米軍発言に反発 宇宙めぐる脅威論で
夢で打ち上げるんや! 衛星「まいど1号」ついに完成
イラン「国産人工衛星打ち上げ」、実は模擬衛星
予算どーする? ひまわり後継機 気象庁が単独で打ち上げ

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20080914-00000933-san-int