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2008年09月14日(日) 19時51分

内部主導でどこまで… 大阪市三セク・WTC特定調停で調査チーム産経新聞

 大阪府の橋下徹知事が打ち出した府庁移転構想で、移転先として注目されるようになった大阪市の第三セクター「大阪ワールドトレードセンタービルディング」(WTC)を巡り、平松邦夫市長が肝いりで設置した「WTC特定調停調査チーム」が水面下で動き始めている。特定調停で作られた40年がかりの再建計画がわずか4年で破綻(はたん)確実になった責任を解明するのが目的。しかし内部主導でどこまで徹底した調査ができるか、疑問視する声も少なくない。

 今回の調査のテーマは大きく分けて3点ある。平成16年に再建計画がだされたにも関わらず4年で2次破綻が確実になった理由と、破綻すれば市が多額の損失補償を余儀なくされる仕組みの調停内容の精査、特定調停にかかわった当時の市幹部らに責任の有無。平松市長はこれらの疑問点を解明し、年内に市民に説明したい意向だ。

 40年がかりのWTC再建計画では、大阪市は関連部局も含め、40年間で計1280億円を入居部局の家賃や共益費などとして負担する予定で、WTCは平成23年度には黒字化を見込んでいた。一方、金融機関は債権782億円のうち137億円を放棄し、40年間で残る645億円の返済を受ける。WTCが返済できなくなった場合は、その損失を市が補償するという内容。

 調査チームのメンバーは、トップに森下暁副市長を据え、山本仁政策企画室長と市政改革室、港湾局、財政局など7所属の課長級職員を中心とする計11人で構成。これまで10回の会合を開き、当時の部長級や課長級の職員6人から聴取を済ませた。

 しかしチーム内には「やりたくてチームに入る人はいない。でもやれといわれたからには形は残さなければ」という声も。内部主導で、当時の市幹部の責任論まで踏み込めるかについては疑問の声が相次いでいる。森下副市長も特定調停が成立した当時、市長室の理事兼秘書部長で交渉に無関係とはいえない立場だ。

 ある市幹部は「当事者といえるメンバーもいる内部主導の調査チームが、関淳一前市長はもとより、特定調停に反対だったとされる大平光代元助役からどういう形で事情聴取するのだろうか」と話す。さらに「調査があいまいに終われば、特定調停の不透明さがかえって浮き彫りになるだけ。市政運営の求心力はますます低下し、WTCの処理にも影響が出かねない」としている。

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