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2008年09月13日(土) 15時05分

汚染米問題 酒造メーカー苦悩 回収分のめぬコスト 九州の2社「捨てるのは悲しい」西日本新聞

 米粉加工販売会社「三笠フーズ」による汚染米の不正転売問題で、酒造メーカーが自主回収し、在庫として残った日本酒や焼酎の処理方法に苦慮している。廃棄処分するには酒税法上、飲めないようにする処置が必要で、保管の費用を含め多額のコストがかかるためだ。メーカー側は「丹精込めた製品が売れないうえに、処理にもお金がかかるなんて二重の苦しみだ」と頭を抱えている。

 美少年酒造(熊本県城南町)は8月中に出荷した日本酒約3万本(1・8リットル換算)の自主回収を始め、工場にも約38万本分の在庫が保管されている。だが、回収した日本酒の処理方法は決まっていない。廃棄するには、酒税法に基づく処理が必要だからだ。

 同社によると、廃棄する場合は、事前に国税局に申告し、製品に塩を入れて飲めなくする「不可飲処置」を施すことが必要で、税金がかけられている酒が密売されないようにする目的がある。処置が終了すると、廃棄物処理業者に委託して、廃棄するが、緒方伸太郎副社長は「ものすごい額になるだろう」とため息をつく。保管の費用もかさむばかりだ。

 光酒造(福岡県粕屋町)も1月以降に出荷した米焼酎など約5万本の自主回収を行っているが、処理についてはまだ決めておらず、光安直樹社長は「バイオ燃料として再利用できないかも検討している」という。

 自主回収を決めた焼酎の在庫分は県保健所でサンプル検査し、残留農薬は検出されなかったが、同社は自主回収は続けるとしており、光安社長は「杜氏(とうじ)が心を込めて作った焼酎を捨てることは忍びなく、悲しい。飲用以外の利用方法があればやりたい」と話している。

=2008/09/13付 西日本新聞夕刊=

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