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2008年09月13日(土) 20時53分

<フリースクール傷害>「ここに捨てられたんや」容疑者の言葉 20年前入所の男性、今も忘れず 毎日新聞

 京都府京丹波町のフリースクール「丹波ナチュラルスクール」の入所者虐待事件で、スクール設立間もない約20年前に入所していた男性が毎日新聞の取材に応じた。当時から木刀での殴打や手錠を使った連行はあったが、「報道で知る限り、はるかに暴力がエスカレートしている」と驚きを語った。

 この事件では、京都府警がスクール経営者の江波戸聖烈(えばとせいれつ)(60)、責任者の森下美津枝(55)両容疑者を傷害容疑で逮捕している。

 男性は中学時代、転校などを機に不登校になり、学校の勧めで入所した。当時のスクールは、江波戸容疑者と森下容疑者の夫が共同経営する「青雲塾」という名称。入所料など約150万円を支払った。

 現在のように入所初日に殴られることはなかったが、江波戸容疑者がいきなり放った「言うことをきかないからここに捨てられたんや」という言葉は今も忘れられない。

 入所者は男女合わせて4、5人。勉強はせずに「奉仕」と呼ばれるテレビの部品を作る内職をして過ごした。意味のない生活に疑問を持ち、2、3日後に脱走。タクシーに飛び乗ったが、金が払えず大阪府内の警察署に連れて行かれた。

 迎えに来た母親の後ろには江波戸容疑者がおり、手錠をはめて連れ戻された。「逃げられへんなと思って、反抗するのをやめた。やっぱり恐怖心があった」という。

 江波戸容疑者は木刀をぶら下げ「逃げたらどこにでも拉致しに行く」と脅した。だが、激しく殴られることはなく、言うことを聞いていれば暴力をふるうことはなかった。おとなしくしていた男性は3週間で「更生した」と判断され、帰宅できた。

 男性は江波戸容疑者らについて「私の時も、わずか3週間で150万円を手にしている。大金を受け取り続けているうち、おかしくなっていったのではないか」と話した。【細谷拓海】

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20080913-00000016-maiall-soci