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2008年09月13日(土) 13時52分

迫力満点!車いすバスケの人気最高潮…パラリンピック読売新聞

 【北京=近藤幹夫、竹村文之】熱戦が続く北京パラリンピック。中でも人気最高潮なのが、車いすバスケットボールだ。

 車いすごと体当たりする迫力と息もつかせぬゲーム展開で、従来の障害者スポーツのイメージを突き破る。各選手の障害のレベルを数値化し、両軍の戦力を均等化するのがルール。動きの素早い障害の軽い選手をあえて重い選手にマークさせて、見事抑えれば、試合は有利に進む。ベンチの戦略が物を言う頭脳戦も見どころだ。

 日本は男子が8強、女子は4強に進出。男子はソウル大会の7位、女子はシドニーなどの銅メダルが最高で、それぞれ13日の試合に過去最高の成績をかける。

 12日夕の女子準々決勝・日本−英国戦は、2万人収容の国家体育館が観客でほぼ埋まった。シュートが決まるたびに観客は立ち上がり、「ウォー」。後半、日本が連続得点で6点差を一気に追い付くと、大音響の音楽に合わせてウエーブが場内を1周した。

 大学生の王尤伯さん(22)は「生で見るのは初めて。迫力が違う。ものすごいスピード感に震えた」と興奮気味。日本の決勝点を決めた網本麻里選手(19)は「会場の熱気に乗せられている。ここまで盛り上がるなんて想像もしなかった」と驚く。

 コートの広さやリングの高さは健常者と同じ。選手にはシュート力やパスの正確さに加え、車いすを素早く走らせて止め、ターンさせる能力が求められる。日本の女子代表の場合、運動量で高さの不利を補う作戦。合宿では練習時間の半分を割いてコートを走り回る。「障害が重くても軽くても選手ごとに役割があり、それが戦略の違いになる」。女子日本代表を率いる岩佐義明監督(50)は説明する。

 国際車いすバスケットボール連盟(IWBF)によると、米国や英国、ドイツ、イタリアなどにプロリーグが誕生。障害者スポーツの中では別格だ。今年5月の日本選手権は衛星放送で試合の模様が初めて放映されるなど、国内でも注目度は高い。北京には出場していないが、男子の安直樹選手(30)のように、欧州のリーグに挑戦する選手も現れた。

 IWBFのモーリーン・オーチャード会長は「エリートスポーツとしてスポットを浴びることに批判もあるが、それによってパラリンピック全体への注目度も上がる」と話している。

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20080913-00000029-yom-spo