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2008年09月13日(土) 15時58分

世界新より「自分の泳ぎ」 全盲、貝塚の生長さん 北京パラリンピック産経新聞

 ■50メートル自由形あす出場

 北京パラリンピックの水泳に大阪府貝塚市の生長(いきなが)奈緒美さん(37)が初出場している。生長さんは全盲で、水泳を本格的に初めてまだ5年だが、五十メートル自由形のタイムは世界トップレベルの実力。12日の百メートル自由形は惜しくも予選で敗退したが、14日の五十メートル自由形に期待がかかる。生長さんは「メダルは気にせず、自分の泳ぎをするだけ」と話している。

 生長さんは熊本県山鹿市出身で、先天性の緑内障で視力が弱かった。中学、高校では吹奏楽部でクラリネットに魅せられ、短大でも音楽を専攻したが、24歳のとき、右目がまったく見えなくなり、左目もわずかに光を感じる程度になった。

 その後、ピアノの調律師を目指して大阪府立盲学校(現府立視覚支援学校)に進み、講師だった夫の善治郎さん(60)と結婚。貝塚市に移り住んだ。

 水泳を始めるきっかけは平成15年の全国障害者スポーツ大会の府大会だった。卓球や水泳などの複数競技にエントリーしたところ、スタッフから「1種目しか出られません」と言われた。当時、卓球クラブで活動していたのだが、生長さんはそのときなぜか「水泳で出ます」と答えた。

 「なぜ水泳と答えたかは自分でも分からないが、子供のころに水泳が楽しかったからかも。でも、やっぱりひらめいたということでしょうね」

 コーチの指導を受けながら1日2時間で3〜3・5キロを泳ぐ練習を週4、5回こなすうちに、めきめきと力をつけた。今年7月に行われたジャパンパラリンピックでは、クラスS11で五十メートル自由形を制した。記録は世界記録(32秒32)に迫る32秒54だった。

 「競技前の集中が重要」という生長さん。本番も「平常心」でメダルに挑む。

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