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2008年09月13日(土) 08時01分

北京パラリンピック 陸上男子400メートル日本勢ワンツー産経新聞

 ■“親友同士”で切磋琢磨

 【北京=川越一】北京パラリンピック陸上男子四百メートル(車いすT52)で12日、伊藤智也選手(45)=三重県=が57秒25の大会新で金メダルを獲得した。前回覇者の高田稔浩選手(43)=福井県=は2位。日本勢がワンツー・フィニッシュを飾った。

 3コーナーを回ったときに勝利を確信した。あとはミスをしないように、慎重に車輪を回すだけだった。ゴールの瞬間、拳を握りしめ、叫び声をあげた。

 10年前から中枢神経が侵される難病「多発性硬化症」と闘ってきた。「確信を持っていえることは、バカなんだと思います」と謙遜(けんそん)するが、20歳で会社を起こすほどの前向きな姿勢は病気との闘いでも変わらなかった。入院後すぐに、その後の生活に備えて車いすを発注。間もなくレースにも出場した。

 前回大会はマラソン、五千メートルで4位入賞。病気が進行し、一度は一線から退いたが、「もう一度この場に帰れるもんなら帰りたいという思いが強かった」と中距離種目に転向。トップスピードを上げるために肉体改造に取り組んだ。

 「このT52というクラスを高田選手と一緒に一生懸命引っ張ってきた。その2人で金と銀が取れた。最高の宝物になった」

 T52クラスを支える2人の“親友”はこれからも、障害者スポーツ発展のために競い続ける。

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http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20080913-00000083-san-soci