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2008年09月13日(土) 02時30分

<緩和ケア>「知識は十分」2割どまり 医師9万7千人調査毎日新聞

 がんの痛みなどをやわらげる「緩和ケア」について「痛みの緩和に関する知識や技術が十分ある」と答えた医師は約2割にとどまることが日本医師会の調査で分かった。同会は「日本人の2人に1人ががんになる時代、医師が緩和ケアの十分な知識や技術を得る機会が必要だ」と分析する。

 調査は今年1〜2月に実施。病院と診療所に勤める全診療科の医師計26万7523人に調査票を送り、9万7961人(36.6%)が回答した。緩和ケアに関する、医師対象のこれだけ大規模な調査は初めて。

 緩和ケアにかかわりたいと考えている医師は「ある程度」を含め58.3%いたが、「患者への病状説明が不安」と答えた医師は33.5%、「患者と死について話すことが負担」は37.1%だった。

 理由として「他の診療が手いっぱいで(取り組む)余裕がない」が47.8%、「経済的に割に合わない」が30.6%。がん診療をしている診療所でも、痛みの緩和に有効な麻薬を取り扱う免許を持たない医師が約3割いるなど、緩和ケアをめぐる環境整備の遅れが消極姿勢につながっているとみられる。

 「麻薬を長期使用すると薬物中毒がしばしば起きる」「麻薬は患者の生存期間に悪影響を与える」などの誤った知識を持つ医師も半数を超えた。

 緩和ケアは「がん対策基本法」で、進行度にかかわらず治療全般で活用することが求められている。緩和ケアに詳しい中川恵一・東京大医学部准教授(放射線科)は「医師には一層の知識と意欲が求められる。緩和ケアを普及させるために、病院だけでなく診療所や在宅まで含めた医師の研修や制度整備が不可欠だ」と話す。【永山悦子】

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