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2008年09月13日(土) 22時00分

【事故米不正転売】出荷20回…三笠フーズ、残留農薬検査は4、5回だけ産経新聞

 大阪市の米粉加工販売会社「三笠フーズ」の事故米転売問題で、同社が近畿地方の保育園や病院で消費されるなどしたメタミドホス汚染米を約20回に分けて出荷したにもかかわらず、残留農薬の検査は4、5回しか行っていなかったことが13日、わかった。冬木三男社長(73)が最初の出荷前、九州事業部の責任者に「とりあえず検査しておけ」と適当な指示しかしておらず、食の安全に対するずさんな意識が改めて浮き彫りになった。
 三笠フーズは平成18年11月〜19年5月ごろ、メタミドホス汚染米800トンを政府から購入。倉庫で1年〜1年半保管して毒の濃度が薄まるのを待ち、昨年11月〜今年8月にかけて、約20回に分けて430トンを出荷した。
 同社の財務担当者によると、九州事業部の当時の責任者は同社の調査に対し、「冬木社長に昨秋、『とりあえず検査しておけ』と指示された」と証言。昨年11月と今年1、2、3月、メタミドホス米を30キロ入り袋から出荷用の袋に詰め替える際、複数の袋からサンプルを採取して民間の検査機関に提出、「残留農薬なし」の結果を受けたという。
 残留農薬の危険性について、冬木社長は6日の記者会見で「すべて出荷前に検査したので問題ない」と説明。同社の担当者も「九州工場に多数の検査結果報告書が残っている」としていたが、内部調査では当時の責任者の証言通り、4、5回分の報告書しか見つからなかった。
 同社が出荷したメタミドホス汚染米の一部は多数の業者を経て、近畿地方の保育園や病院などで消費され、京都市の保育園と高齢者施設の計2カ所で使われた残りの米から国の基準値(0・01ppm)の2倍のメタミドホスが検出された。
 また、この汚染米は、冬木社長が「いい米だ」と周囲に話し、自ら買い付けに行っていたことが分かっている。財務担当者は「とりあえず一部のサンプルを採取し、検査に出したが、結果が『残留農薬なし』だったので、他の分は検査しなくても大丈夫だろうと考えたようだ。誠にずさんで申し訳ない」と話した。
 一方、メタミドホス汚染米は保育園などで消費された際、アメリカ産に偽装されていたこともわかった。神戸市の穀物卸売会社が偽装していたとみられ、農水省が詳しい経緯を調査する。

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