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2008年09月13日(土) 21時55分

<事故米転売>三笠フーズ、サンプル検査半分だけ毎日新聞

 米卸売加工会社「三笠フーズ」(大阪市北区)の汚染米転売問題で、同社が事故米の出荷前に必ず行ったとしていたサンプル検査が、実際は多くても半分程度の実施にとどまっていたことが分かった。流通先の保育園などで見つかった餅米から基準値の2倍の有機リン系殺虫剤メタミドホスが検出されており、大半の米がチェックなしに出回ったとみられる。問題発覚後、三笠フーズの冬木三男社長は「すべての事故米を外部機関で検査した」と説明していた。

 三笠フーズの財務担当者によると、同社はメタミドホスが検出された中国産餅米約800トンを国から購入。昨年11月〜今年8月、約350トンを福岡県筑前町の九州工場から、複数の仲介業者を経て、同県内の米卸売会社に出荷した。約20トンずつ20回近くにわたり運び出したが、検査は「せいぜい10回程度だった」としている。

 検査は、20トンにつき約1キロのサンプルを取り出し、外部の専門機関に分析を依頼していたという。基準値(0.01ppm)を超えた米について、財務担当者は「出荷していないと思う」と話しているが、「(検査は)とりあえず、気休めでやっていたのだろう。ずさんだった」と語った。

 これらの米は複雑な流通過程を経て、米穀店や米菓メーカーなどに流れたとされる。うち一部は、近畿2府4県の病院や高齢者福祉施設など100カ所以上に流れ、京都市の保育園に残っていた米から、初めて、基準値を超すメタミドホスが検出された。

 今回の事故米に関する安全性の認識について、三笠フーズ側は農林水産省の聴取に対し「メタミドホス汚染米は転売前に検査をして問題ないと判断した。カビの米は表面を削って転売した」と説明していた。また、冬木社長は今月6日の記者会見で「危険性の認識は持っていたが、カビは目視や精米機で除去し、(メタミドホス汚染米は)すべてを外部機関で検査した」と話していた。【宮地佳那子】

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