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2008年09月12日(金) 06時02分

麻生氏“聖地”アキバ封印?…自民党総裁選スポーツ報知

東京・渋谷で行われた自民党総裁選の街頭演説で、集まった大勢の人たちに街宣車から手を振る5人の候補者

 アキバ封印!?—。自民党総裁選(22日投開票)に立候補している麻生太郎幹事長(67)が、今回の選挙戦では東京・秋葉原での街頭演説を行わない方針であることが11日、分かった。秋葉原は政界一の漫画オタクで知られる麻生氏の人気を、世代を超えて知らしめた定番の演説地。今後17か所におよぶ全国遊説などタイトな日程が“封印”の理由だが、大本命として優位に進める戦いでは、あえて「聖地」にこだわらず正攻法で挑む構えだ。

 前回、前々回の総裁で、麻生氏の存在と人気を一躍クローズアップさせた「アキバ演説」。しかし11日夜、自民党本部で選対会議を実施した麻生陣営では「現在のところ、秋葉原で演説する予定はない」と断言。今回の総裁選で麻生氏が「オタクの聖地」に降臨する機会はなさそうだ。

 過去2回の「アキバ演説」では、永田町一詳しいと自負する漫画やアニメ、サブカルチャー論を自在に展開。「自称秋葉原オタクの皆さん、こんにちは」「オレはでっけえ派閥と戦っている、いじめられっ子」などの太郎節で、劣勢の選挙戦を盛り返してきた。

 今回の「アキバ封印」は「日程上の都合」(麻生陣営)が主な理由。総裁選は11日午後の5候補による街頭演説を行った東京を皮切りに、残り11日間で17都市を回る。麻生陣営では「過去2回の総裁選はまだゆとりのある日程だったので、急な個人演説を入れることができたが、今回はさすがに…」と苦渋の決断を説明した。

 一方で、6月に秋葉原で起きた無差別殺傷事件が関係しているのではという声もある。麻生氏は現場を訪れ、献花するなど事件についてショックを受けていた。麻生氏の側近議員も「麻生氏が今回、秋葉原の演説にこだわらないのは犠牲者の遺族への配慮もある」と明かす。

 各報道機関の調査で議員票の半数近く、地方票の大半を確保していると言われる麻生氏。4回目の出馬にして初めて優位に戦いを進めている。しかし一夜にして包囲網を築かれ、敗れた前回のように「一寸先は闇」は政界の常。選挙戦の流れしだいでは「アキバ演説」がヤマ場となる可能性がある。

 選対本部長の鳩山邦夫前法相(59)も「まだ分からない。検討中」とし「サプライズ演説」の可能性をにおわせている。

 渋谷での街頭演説に集まった麻生ファンからも「アキバ待望論」の声が浮上。埼玉県草加市の専門学校生の男性(20)は「渋谷ではいまいち盛り上がってこない。アキバに来てくれたら」と期待を寄せる。東京都台東区のフリーター女性(21)は「閣下(麻生氏)はやっぱりアキバが似合う」と話した。

 麻生氏は12日、東京・新宿駅で個人演説を行うが「東京での演説は新宿が最後かも」(麻生陣営)としている。

http://hochi.yomiuri.co.jp/topics/news/20080912-OHT1T00073.htm