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2008年09月12日(金) 00時00分

キジハタ種苗の大量生産確立中国新聞

 漁獲が極めて少なく「幻の高級魚」とされるキジハタの種苗の大量生産技術を、山口県水産研究センター外海研究部(長門市)が確立した。全国トップ級の生存率を達成。定着性が高いため放流先の岩場周辺では徐々に捕れ始めており、燃油高に苦しむ漁業者が熱い視線を注いでいる。

 キジハタは青森県以南に分布する暖海性の魚。体長50センチ、2キロ程度まで育ち、大型だと1匹1万円以上の値が付く。引き締まった白身で甘みがあり、刺し身や煮付けなどに向く。

 ただ、種苗の生産が困難で、ふ化直後の稚魚は体長1.7ミリ程度と小さい。口に入る餌がほとんどなく、わずかの衝撃で死んでしまう。センターは2005年度から、1—3トンの稚魚の水槽内でワムシを同時に飼育。体長約0.1ミリのワムシの子を与え始めた。この結果、昨年度の放流量は約3万8300匹と、04年度の約1200匹から大幅に増えた。

 本年度は30トンの水槽3基で稚魚を飼育。当初は2%程度だった生存率は12.4%に高まった。水槽1トン当たりの生産密度は、事業化の目安の1000匹を大きく超え1286匹。近く5センチ程度に育った約11万5700匹を放流する。

【写真説明】体長5㌢程度に育ち、放流を待つキジハタ

http://www.chugoku-np.co.jp/News/Tn200809120001.html