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2008年09月12日(金) 08時26分

H&M、あす東京・銀座に上陸 ユニクロなど「巨艦」迎撃の構えフジサンケイ ビジネスアイ

 世界第3位の衣料チェーン、スウェーデンのへネス&マウリッツ(H&M)が13日、東京・銀座に日本1号店をオープンする。手ごろな価格と最新ファッションを武器に世界で約1600店舗を展開し、売上高は1兆3000億円(2007年)を超える。個人消費の低迷で国内の衣料品市場は苦戦が続いており、“巨艦”の日本上陸で、競争は激しさを増しそうだ。

 世界首位、米GAPのラッピング列車が走る東京メトロ銀座駅にH&Mのポスターが並ぶ。H&M銀座店の数軒隣には、2位のインディテックス(スペイン)が展開するZARAがあり、まさしく「日本が世界市場に取り込まれている」(ファーストリテイリングの柳井正会長兼社長)様相だ。

 H&Mは「ファッションとクオリティーを最良の価格で提供する」のがコンセプト。企画から販売まで手がけるSPA(製造小売業)方式で、799円のTシャツや1万円以下のコートなどを販売する。銀座に続き、11月に原宿、来秋に渋谷に出店を予定。ロルフ・エリクセンCEO(最高経営責任者)は「東京への出店は長年の夢」と話す。

 今回、「品質に厳しい」(同社幹部)とされる日本の消費者を意識し、他国で例のない品質管理マネジャーを配置。人気ブランド「コム デ ギャルソン」の川久保玲さんとコラボレーションした商品も11月に発売するなど準備に余念がない。

 これに対し、カジュアル衣料のユニクロは「産業が活性化すればいい。われわれが世界で売るのはベーシックで(機能性など)今までにない服」と差別化で臨む考えだ。

 また、銀座に店を構えるプランタン銀座は「トレンドファッションという意味で客層は同じ。品ぞろえやサービスで違いを出したい」と話す。

 食料品などの値上げで消費者は節約志向を強めており、低価格衣料が多いH&Mには追い風だ。ただ、大和総研の篠崎真紀アナリストは、3店舗の出店計画しかないことを挙げ「話題が先行し過ぎている。市場やライバル企業への影響も限定的」と指摘する。エリクセンCEOは「ファッションはワールドワイド。日本の消費者の選択肢を増やすことができるのではないか」と話している。

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 ■「高級ブランドも相手」ロルフ・エリクセンCEOに聞く

 銀座店開店に合わせ、H&Mのロルフ・エリクセンCEOが来日し、11日、フジサンケイビジネスアイなどのインタビューに応じた。一問一答は次の通り。

 −−日本の今後の展開は

 「まずは3店舗に集中する。東京近辺のショッピングセンター(SC)を見て回った。消費者に気に入ってもらえればSCに出店する可能性もある。新しい市場に入るときは長いスパンで考えるが、ある程度の市場シェアはとりたい」

 −−ターゲットは

 「ファッションに興味があるすべての人。グッチで買い物した後、H&Mに来る客もいるだろう。大切なことは価格に見合った価値を提供することだ。百貨店も高級ブランドも競争相手になる」

 −−日本は景気後退入りが顕著になっている

 「ドイツの経済も厳しいが、大きな市場であり、シェアも取っている。景気の浮き沈みに影響されることはないと思う。逆に立地などの選択肢は増える」

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20080912-00000001-fsi-bus_all