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2008年09月12日(金) 20時39分

パラリンピック 車いすラグビーの三阪、引きこもりを克服毎日新聞

 【北京・石丸整】北京パラリンピックの車いすラグビー日本代表チームは12日、予選リーグ初戦で強豪・カナダと対戦、惜敗した。三阪洋行選手(27)=東大阪市=にとって6戦全敗した前回大会の雪辱戦。「アテネでかなえられなかったメダルをつかみに来た」

 大阪・布施工業高のラグビー部員だった99年6月、こぼれ球に飛び込み他の選手の下敷きになった。首からパーンという音が聞こえた。頸椎(けいつい)骨折。

 手術を受け3カ月は寝返りもできなかった。その後の5カ月は車いすの操作訓練で過ごした。「この先どうしたらいいんや」。不安に襲われた時、作業療法士に車いすラグビーのことを教えられた。

 翌日、ニュージーランド代表のビデオを見た。トップスピードの車いす2台がガツンと衝突し、選手が車いすごとあおむけに倒れた。「こんな体でも夢中になれるかもしれない」。

 退院後、地元チームに入ったが外出するのは怖かった。周囲から指をさされていると感じた。両親が「面倒は見る」と言ってくれ、週1回の練習以外は自室に引きこもった。

 2年後、チームを通して知りあった代表チームの塩沢康雄監督からニュージーランド留学を勧められた。引きこもり生活が続くことへの不安もあったが、02年7月からニュージーランドの車いすメーカー社長宅にホームステイした。練習漬けになった4カ月間。「追い込まれたらできる」と自分が好きになった。

 帰国後、1人暮らしを始めた。職業訓練校に通いながら各地のチームの練習に参加。神戸市の洋服販売会社の事務で働き、03年に代表チームに選ばれた。

 12日のカナダ戦。アテネ大会の銀メダルチームを相手に第1ピリオドが同点。少しずつ引き離され40−48で敗れたが、三阪選手は2ゴール、4アシストと活躍した。「始まったばかり。これからです。アテネのリベンジをしますから」。13日の米国戦に向けて力強く宣言した。

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