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2008年09月12日(金) 12時00分

『LHC』最高/最悪のシナリオ(2):超対称性理論と暗黒物質WIRED VISION

(1)から続く

「私たちの宇宙は唯一の宇宙ではない」説

最高のシナリオ:長寿命のグルイーノ(存在が予想されているグルーオンの超対称性パートナー)が見つかれば、グルイーノは「多元的宇宙からのメッセンジャー」と捉えることができ、私たちの宇宙がたくさんある宇宙の1つにすぎないという説を裏付けることになると、ある科学者グループは主張している(ただし、誰もがこの解釈を信じているわけではないことをお忘れなく)。

最悪のシナリオ:私たちの宇宙は本当に唯一の存在だ。言い換えれば、孤独だ。

宇宙の暗黒物質説

最高のシナリオ:天体物理学者は現在、宇宙の96%は、見ることも検出することもできない暗黒物質とエネルギーで成り立っていると信じている。暗黒物質だけで宇宙の26%を構成していると推定されているが、何でできているかはまったく不明だ。

暗黒物質の候補として最も有力なのは、ニュートラリーノ[超対称性理論によって存在が予想されているマヨラナ粒子]と言われている。

多くの物理学者が、存在するとすれば比較的生成が容易なニュートラリーノが、『ATLAS』(A Toroidal LHC ApparatuS)あるいは『CMS』(Compact Muon Solenoid)の検出器内部の塵の中から出現して、暗黒物質説を立証してくれればと望んでいる。

最悪のシナリオ:物理学者が自信たっぷりに、LHCの検出器の1つに明らかな暗黒物質の痕跡が観測されたと発表する。だが数週間後に、実は測定ミスだったということが判明し、当初の発見が覆される。

LHCは、たとえ暗黒物質が運よく作成されたとしても、それを計測できるほど正確ではないと考える物理学者もいる。

(3)ヘ続く

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20080912-00000003-wvn-sci