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2008年09月11日(木) 12時37分

完成間近、瀬戸内の島をつなぐ橋オーマイニュース

 広島県呉市の豊浜町豊島と同市蒲刈町大浦を結ぶ豊島大橋(仮称)の完成が近づいてきた。

 この橋は本土から、下蒲刈島、上蒲刈島、豊島、大崎下島を経由して愛媛県の岡村島までを繋ぐ「安芸灘諸島連絡架橋」の1つになる。として、広島県道路公社が発注した。

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 これまでに

 1号橋(本土〜下蒲刈島間の「安芸灘大橋」)
 2号橋(下蒲刈島〜上蒲刈島間の「蒲刈大橋」)
 4号橋(豊島〜大崎下島間の「豊浜大橋」)
 5号橋(大崎下島〜平羅島間の「平羅橋」)
 6号橋(平羅島〜中ノ島間の「中の瀬戸大橋」)
 7号橋(中ノ島〜岡村島間の「岡村大橋」)

と6本の橋が完成し、すでに供用されている。

 いよいよ2008年11月、3号橋である豊島大橋(上蒲刈島〜豊島間)が完成・供用開始することが本決まりになった。これにより安芸灘諸島は7本の橋で結ばれることになる。

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 豊島大橋は、長さ903メートル、主塔の高さが109.5メートルの吊橋式の橋。1999年に事業化されてから、およそ10年の歳月を費やされての完成だ。

 橋の完成は、地元民をはじめとして多くの人たちが待ち望んでいた。県としても安芸灘諸島を橋で結び、離島振興を図り経済効果を高めたいという構想がある。

 広島県の“安芸灘諸島連絡架橋構想”によれば、安芸灘に連なる島々を、合計8つの橋で結ぶ計画だった。 [8号橋(岡村島〜大崎上島間)は未定]

 この3号橋の完成によって、島嶼間の連絡架橋計画は大きく前進し、安芸灘諸島の地域振興、観光の両面で期待されている。

 呉市は、安芸灘大橋から岡村大橋までの陸路のニックネームを全国に公募した。そして8月28日、多くの応募作品の中から“安芸灘とびしま海道”に決定したと発表した。

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 完成間近となった「豊島大橋」(仮称)を見学してみることにした。

 本土側(呉市川尻町)から、すでに8年前に供用開始されている全長1175メートルの「安芸灘大橋」を渡り下蒲刈島へ、そこからさらに「蒲刈大橋」(全長480メートルのトラス橋、1979年開通)を渡り、上蒲刈島の東に位置する大浦まで行く。

 大浦港を抜け海岸沿いをしばらく行くと、上蒲刈島と豊島の間に大きな吊り橋が目に入る。

 これが3号橋の「豊島大橋」(仮称)である。

 1号橋の安芸灘大橋よりもこちらの方が海面からの高さが高いので調べてみると安芸灘大橋は36メートルだが、こちらは50メートルの高さがあるのだ。これは本土側に造船所があるために、大型船舶の航行を妨げないように配慮したからだといわれている。

 ライトブルー(薄い水色)に塗装された吊り橋式の橋はほぼ完成し、橋の上や台船の大型クレーンが設置され、炎天下のもとで付帯工事や取り付け道路工事の最終段階に入っていた。工事の進捗状態は順調のようであった。

 この3号橋「豊島大橋」(仮称)が開通したら、本土から愛媛県・岡村島まで島伝いにドライブもいいが、サイクリングしながらゆっくり廻るのもいいだろう。

 1号橋から7号橋までの総延長距離は概算25キロメートルくらいになるだろうか(注・記者の計測によるもので正確かどうかは不明)。

 「豊島大橋」(仮称)は離島振興策で、通行料は無料となる公算が大きい。“安芸灘とびしま海道”のなかで有料なのは「安芸灘大橋」のみで、普通車で往復1400円(片道700円)だ。

 下蒲刈島は朝鮮通信使の寄港地としても知られている。蘭島閣美術館、三之瀬本陣芸術文化会館などがある。

 上蒲刈島には宿泊施設や天然温泉、レストラン、多目的グランドや海水浴場が完備されたリゾート施設広島県民の浜がある。

 大崎下島の御手洗港はかつて“潮待ち、風待ちの島”として栄え、国から重要伝統的建造物群保存地区にも選定されている。大長みかんの産地としても有名である。

 この橋の完成を機に、年間を通して温暖で風光明媚な瀬戸内の島、安芸灘諸島の良さを知ってもらいたい。

(記者:松原 ただし)

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20080911-00000000-omn-l34