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2008年09月11日(木) 21時36分

<パラリンピック>21歳の鈴木が優勝…競泳男子五十平毎日新聞

 【北京・飯山太郎】北京パラリンピックは第6日の11日、国家水泳センターなどで行われ、競泳男子五十メートル平泳ぎ(運動機能障害)で21歳の鈴木孝幸(静岡)が49秒06で優勝した。今大会の日本勢の金メダルは、自転車男子千メートルタイムトライアル(脳性まひ)の石井雅史(神奈川)に続き2個目。鈴木は同日午前の予選で48秒49の世界新記録をマークした。女子二百メートル個人メドレー(運動機能障害)では北京五輪オープンウオーター種目に出場したナタリー・デュトワ(南アフリカ)が2分27秒83で優勝。百メートルバタフライに続く世界新で、百メートル自由形を含め今大会3個目の金メダルをつかんだ。

 陸上の女子二百メートル(車いす)では37歳の八巻智美(福島)が37秒44で銀メダル。日本の女子では今大会初のメダルを獲得した。車いすバスケットボール男子の日本は、1次リーグ最終戦で南アフリカに競り勝って2勝3敗でA組4位となり、女子に続く準々決勝進出を決めた。

 車いすテニスの男子シングルス3回戦では第1シードの国枝慎吾(千葉)が快勝。第9シードの斎田悟司(千葉)も第5シードのポーランド選手を破り、そろって準々決勝進出。国枝と斎田で組んだ第1シードのダブルスも、初戦の2回戦を突破して8強入りした。

 ◇鈴木、日本競泳勢初の金…障害乗り越え世界ランク1位の実力見せつける

 電光掲示板で自らの優勝を確認すると左腕を突き上げた。生まれつき両脚のほとんどと右手がない「先天性四肢欠損」という障害を抱える21歳の鈴木。午前中の予選で出した48秒49の世界記録更新こそならなかったが、この種目での世界ランキング1位の実力を発揮して今大会の日本競泳勢初の金メダルを獲得した。

 予選に続き、飛び込んで浮き上がると既にトップだった。左腕と二の腕まで残る右腕、そして下半身の強さで泳ぎを加速させた。「(04年)アテネ後の4年間、体もできて来て泳ぎ込めるようになり、(ペースが)落ちなくなった」と分析する後半の泳ぎでも、2位のスペイン選手の追い上げを振り切った。

 指導する日本チームの峰村史世コーチは「持っている能力のすべてを生かすよう指導している」と説明する。右脚に比べ、太ももの一部が残る左脚の踏ん張りが、スタート時のリードを生んだ。

 早大教育学部の3年生で水泳部にも所属。競泳は周囲の勧めもあり、高校の時から本格的に取り組み、アテネ大会ではメドレーリレーで銀メダルを獲得した。「(競泳が)好きなだけで、自分の泳ぎで『何かを伝えたい』とは思っていない」と言い切り、今大会を一つの集大成と位置づけて北京に臨んだ。

 だが、06年世界選手権では2位に終わったこの種目で、初めて国際大会での表彰台の中央に立った。「気持ち良いですね」。普段はクールな若者が、屈託のない笑顔を周囲に振りまいた。【飯山太郎】

 ◇前回アテネの8位以上の成績確定…男子バスケ

 日本が1点を追った第4クオーター残り約10秒、香西が「『無の境地』で放った」と振り返る2点シュートがリングに吸い込まれた。その後、香西がフリースローを1本決めて試合終了。この日チーム最多の20得点を決めていた藤本が相手のマークを引きつけ、フリーになった今大会チーム最多得点の香西が逆転ゴールを決めた試合。選手がそれぞれの役割を果たして、チームを8強に導いた。

 前日まで連敗中だったチームの状態を、奥原監督は「崩れかけていた」と表現した。10日の試合後には、選手だけで腹を割って話し合う機会を設けたという。この日の試合後に会見した宮島は「ミーティングではそれぞれの思いを話し、選手の間の役割をもう一度で確認した」と話した。

 ギリギリでの逆転勝ちで、まだ完全復調という状態ではない。しかし、選手それぞれの試行錯誤が奏功し、日本男子は前回アテネで残した8位以上の成績を、まずは確定させた。【飯山太郎】

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