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2008年09月11日(木) 15時36分

汚染米転売 メーカー「創設以来最大の危機」被害4億円 焼酎離れも産経新聞

 米粉加工販売会社「三笠フーズ」(大阪市)によるカビ毒や農薬に汚染された事故米の不正転売問題を受け、焼酎業界への影響が深刻化している。自主回収が始まったことを受け、メーカー側にはすでに被害が出ているほか、小売店でも懸念されていた焼酎の買い控え傾向が出始めているという。問題の全容が明らかになっていないだけに、業界関係者は「どこまで被害が広がるか分からない」と険しい表情。知らずに問題のコメを仕入れたメーカーからは「創設以来、最大の危機」との声も上がっている。

 県産の本格焼酎が「薩摩焼酎」として国税庁の産地指定を受けている鹿児島県。県は10日、問題のコメを仕入れていた3社の焼酎からは「農薬のメタミドホスやアセタミプリドは出なかった」との検査結果を公表した。

 しかし、既に製品回収は始まっており、代表的銘柄の「薩摩宝山」約30万本を回収している西酒造(鹿児島県日置市)は「(回収費用などで)被害額は約4億円」と嘆く。

 かつて焼酎ブームに沸き返った業界だが、最近はビールや発泡酒に押され売り上げは減少気味。鹿児島県酒造組合によると、県内の年間焼酎出荷量は10年ぶりに減少に転じた。

 各地の焼酎メーカーのなかにはホームページなどで「三笠フーズとは取引がありません」などと記載することで安全性をアピールしているところもあるが、10日には三笠フーズ以外にも事故米の不正販売があったことが発覚。被害の広がりも懸念されている。

 業界関係者は「全容が明らかになっていないだけに、どこまで被害が拡大するのか分からない。農林水産省の調査が進めば、知らずに汚染米を使っていたメーカーは増えるのではないか。業界中が戦々恐々としている」と明かす。

 小売店では、商品撤去をする動きも相次いでいるが、大阪府東大阪市の酒販店では、一連の問題発覚後、店全体の売り上げが2割減少。ネット販売している焼酎の受注も大幅に減っており、店長は「すでに焼酎を購入した顧客から日本酒に変えてほしいとの要望が増え、対応に追われている」と困惑した様子。

 大阪市西区のリカーショップタカムラでも、顧客から「この焼酎は大丈夫か」といった問い合わせが相次ぎ、店頭の「薩摩宝山」をすべて撤去。林宏和店長は「メーカーの自主回収の動きが今後も続けば、店頭から焼酎がなくなるかもしれない。一日も早く騒動が沈静化してほしい」と話していた。

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